第四話 彼らとの遭遇
議事堂周辺を一周してから、坂の途中の街路樹手前に車を停めた。週末の議事堂周辺は車の通りも少なくて、なぜか気分が良かった。
「ここが議事堂なのね」
「国中の利害が集まる所ってわけだ」
確かに利害が集まり、良いにつけ悪いにつけ、国中から集めたお金をどう使うか決めているんでしょう!今日は誰もいないようだけど、念が集中する国の中心だね。
「決めてしまえばどうにでもなるのね」
「そうだよ。勝手に使えないお金に理由付けて動かす様にするのだから、とんでもない利害が発生するんだよ」
誰がどう決めたのか、このエリアにいわゆる三権のトップ機関が集中している。そしてここから少し離れているところにエンペラーが居る。
「そこは王室なのね」
「そう王様がいる所だね」
当然、他国の大統領とは違った位置づけになっているが、相当の激務である事は間違いない。王様を中心に立法機関、行政機関、司法機関が周りを取り囲んでいるわけだ。元々は京都にいた王様がこちらに来たらしいが、その経緯、歴史上の真実はどうなっているかわからない。
「王様の周りには人々は住んでるの?」
ピーナが唐突に聞いてきた。
「前は結構住んでいた様な痕跡はあるけどね」
今から四百年以上前には外の世界と遮断し、三百年近く孤立した時代があったようだ。今は日本の中心地となっているが、かつての征夷大将軍が来る前は、大きな湾に囲まれた風光明媚な場所だったのでしょう。鎌倉という場所にも大きなエネルギー磁場が存在していたが、さらに東の地で繁栄を享受する事になったわけだ…
コロン達は何も知らないけど、微かに残っている周波数を感じて話しているようだ。
ピーナは何か別の波動が揺れ動いているのを感じた。
「途中から何か変わったわ」
「何か手を加えられてる」
コロンも思っていた。確かに他国から何か入って来たように感じる。無理矢理文明を進化させようとしているのか、別の意味で支配しようとしているのか、大きな企みが実際行われた様な気がしてならない。
〜その時〜
「あっ!」
地下鉄の出口から3人の背の高い男達が出て来た。普通はそう見えるのだけど、コロンとピーナには別の映像としてハッキリ映ってしまった。
「彼らよ!一緒に来ていたのね!」
距離が離れているのが若干幸いしたのか、先方は気付かなかったらしい。身なりはスーツ着た人間の様だけど、間違い無く大型爬虫類だ。そう、進化を促すあまりに、緑の惑星を休眠状態にしてしまったあの種族だ。
コロンはアクセルを全開にして、その場を立ち去った。気付いたらピーナはネコ型に変身していた。ちょっと異変を感じたのでしょう。
「彼らはいつ来たのかしら?」
「まさかこの文明に介入していないでしょうね」
ピーナはある一定の不安を抱いていた。
「気付かれてしまうとパワーが消えるからね」
コロンは思い出しながら言った。
色々と調べてみるのも面白いかもしれない。彼らも悪気があってしているのでは無くて、自分達の理想を追い求めているだけかもしれない。そう願いたい気分はピーナも同じだ。
「レッツゴー!」
ピーナは右手を力強く高く上げた。
二人ともお腹が空いたので、大好きなスキヤキを食べる事にした。スキヤキは美味しい、本当に美味しい。
今日はいい日だ!
エンジン音は相変わらず良い音を出していた〜
〜ブロ〜ブロロォ♪〜
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