第1ー6話:異世界へ(6:回想―5)
問題の倉庫視察 倉庫に到着し、志朗の目に入ったのは、汚れが目立つ巨大な灰色の建物だった。
外壁には汚れが目立ち、駐車場には古びたトラックが乱雑に停められていた光景が広がっていた。
敷地の隅には、積み上げられたパレットや廃材が散乱し、まるで使い物にならない荷物が放置されているようだった。
その光景を見ただけで倉庫自体が、すでに手入れの行き届いていないことを物語っていた。
かつての自分なら、この場で何をどう改善するか、すぐに考えが浮かんでいたはずだ。
だが今は、倉庫の外観を見ても、その汚れた外壁や乱雑に停まるトラックに対して強い感情は湧いてこない。
代わりに、ただ虚しさだけが心に広がっていた。
(本当にこれでいいのか? 数字を追いかけることばかりで、現場を変える力を発揮できていない自分が、かつて目指した理想に背いているのではないか?)
志朗は、空を見上げた。
志朗は、事務所に向かう道すがら、倉庫内も乱雑な状態にあることを一目で感じ取った。
(これは……ひどいな。)
倉庫内を歩きながら、周りの床や棚を見たが、埃が溜まり、荷物が乱雑に置かれ、整理整頓がされていないことがすぐにわかった。
志朗は、この状況が労働環境の安全性や作業の効率に重大な影響を及ぼす可能性があると直感し、倉庫のさらなる問題や危機を示す予兆であるかのように感じられた。
彼は立ち止まり、一瞬耳を澄ました。
(……なんだ?)
周囲には作業者のざわめきがあるだけで、特に変わったことはない。
だが、どこか空気が重い。
まるで倉庫全体が何かを抑え込んでいるような、微かに張り詰めた感覚があった。
志朗は気にしないようにして、事務所に向かう足を進めた。
志郎は、今日はまず責任者である藤原との面談を行い、現状を確認することにしていた。
その面談は、倉庫の現状改善に向けた糸口となる可能性があり、志朗にとってはルーティーン的な業務の1つであったが、単なる状況確認ではなく、この倉庫の未来を左右する重要な第一歩にしたいと志朗は考えていた。
ただ、藤原が現在の状況・問題をどう受け止め、どのような改善策を提案するのかによって、この倉庫が再生するか、さらなる混乱に陥るかが決まるとも感じていた。
次の更新予定
理想の倉庫を創るために異世界転移 ~異世界で物流革命~ アクティー @akuts-j
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。理想の倉庫を創るために異世界転移 ~異世界で物流革命~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます