旅立ち


キョウは両親に宴会であった事と、ミオが旅に出るから着いていく事を伝え、旅立ちの支度をする。その背中を両親は暖かい眼差しで眺めていた。


ミオは風呂敷に入る分の自身の大切な物を詰め込んで、早々に就寝した。家族に伝えたら反対されそうだから何も言わなかった。


ミオが目が覚めた時に風呂敷の横に包みがあって、包みの横にお昼にキョウと一緒に食べるようにと書かれた紙が置いてあった。最後の母のお弁当に泣きそうになりながら、ミオは風呂敷を持っていつもの場所。キョウがミオを連れてきてくれた畑へと向かう。


そこには既にキョウが同じように、風呂敷を持って立っていた。2人は微笑みあい、手を繋ぐと川沿いに太陽が昇る方向へと歩いて行った。




その後その村がどうなったのかは2人は生涯知る事は無い。可愛がっていたミオが出て行ってしまった事に村の男達は嘆き悲しんだが、全てを知っていた村長はそらみたことかと呆れた表情で見ていた事も。最後にお別れの挨拶をしたかったとミオの両親が悲しんでいた事も、それをキョウの両親が慰めていた事も。前を見て歩き出す2人には、関係の無い事だから。




2人の旅立ちは後に大きな影響を及ぼす事になる。立ち寄った先で枯れた大地を恵まれた土地に変え、災害などで荒れた大地を整地してきたことにより、鬼人が全国を巡り善行を積んで良き鬼神となり、鬼神に伴った花人が同じく不老不死となって生涯を共にしたケースとして後の世の者達に、大きく知らしめる第一歩となった。




その物語は機会があったら綴る事だろう。


黎明期キョウとミオ編.Fin





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