第3話 解放感

 この家を出る機会が出来る!家の者からしたら追い出すと考えてるのだろうが、私は逃げ出せるこ事に体が震えるほど嬉しい。

何だろうこの”やっと脱出できると言う解放感”は?


今までこれほど嬉しかったことが有るだろうか?いや、ない。ってぐらい嬉しい。


 逃げ出すのだから換金できそうな物はっと。そうだ服……嘘、私の服って安物過ぎ……

アクセサリーは……殆どない。あれ?減ってない?盗られた?でも証拠も時間も無いしもういいか。手切れ金だと思おう。


 準備は進んでる。役所には何時でも出れると連絡した。後は迎えを待つだけ。ローズマリーも準備は出来てる。これ以上被害が出ない様に荷物は監視している。


 翌日お迎え来た!!あの担当者さん急いでくれたのかな?お名前聞いておけばよかった。

やっと出ていける。使用人が父が呼んでいると私に声をかけて来た。


「お父様お呼びですか?」

「出て行くのだろ?今まで買ったものを返せ」

「返すですか?もう迎え来てますよ」

「いいから出せ」

「お断りいたします」

「親に逆らうのか?妹と違い悪い姉だな」

「分かりました。返したとして準備金について役所に届けても良いと言う事ですね?」

「そんな事したら2度とこの家には戻れないがいいのか?」

「あれ?私の聞き間違えではなかったら、元々そのつもりだったのでは?」

「貴様など不要だ。もう行け」

「ありがとうございます。ここから出れる事が私が今まで貰った中で1番のプレゼントですわ」

「穀潰しが早く出て行け!」


 家から出たが誰も見送りはない。だから建物に「今までありがとう」と礼を言っておいた。


さあ馬車だ。うちの老朽化したガタガタよく揺れるマッサージ機能付きのようなのではなく、安眠できそうな静かな馬車だ。


少し離れた所でローズマリーが声をかけて来た。

「やっと出れましたねお嬢様」

「ツバキでいいですよお姉さま」

「その設定覚えておられたのですね」

「貴方以上の味方は居ないからね」

「……よく頑張られ……いえ頑張ったねツバキ」

「ありがとうお姉ちゃん」


「あのね、他の使用人たちを悪く思わないで欲しいの」

「父が変な事でも言ってたの?」

「そう。見送りしたら給金減らすって。本当に何考えてるのか分からない方ですね」

「敬意無いのに敬語は不要ではないかしら?お姉さま」

「そうね。もう多分雇用主ではなくなりますし」

「辞めさせられたの?」


「出ていくなら国から給金貰えと」

「は、恥ずかしくないのかしら?」

「まあ無償でも妹の為なら頑張りますよ」

「駄目よ。私の世話をする以上お金は払うわ。家事も教えて。卒業したら必要になるから」


そんな会話をしながら途中宿に泊まったりで5日かけて神戸国中央市に到着した。

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