第2話 学校
12歳になった。まだ家にいる。早く出たいがまだ働けない年齢だから……。
とりあえず運が良ければ学校に通える。
貴族の家に生まれた者は12歳から学校へ通う。
学校が始まる少し前に適性検査が有り、適正有だと国の中枢である中央市に有る高等教育学校、略して高校に通う事が出来る。
中学入学くらいの年齢なのに高校とは違和感が有るが……。まあ世界が違うしね。
ここは防犯上全寮制となっており使用人も連れて行く事が出来る。
で、今日は運命の適性検査の結果発表の日。
不正のないように中央市役所から一人一人に直接職員が運ぶ。
あ、誰か来たみたい。使用人が対応してる。
父と母に呼ばれた。
「ツバキ早く来い!」
「はい」少し急いで向かった。
「何でしょうか?」
「こちらの役人がお前に直接伝えると言い、結果を教えてくれなくてな。うちは伯爵家なのにな……」
「今回の結果のみ直接本人に指令が出ている。ローズ伯爵家ツバキ、上記の者は優秀な魔力を認められたため高等教育学校へ入学を命ずる。これは許可ではなく王家よりの命令である」
「つ、謹んで拝命いたします」
「勝手に返事をするな。私達が返事をする。娘を通わすのは構わないがな、これの可愛い妹が病気でな、色々と入用なのだ。命令と言う事は、少しはそちらで面倒見てくれるのかな?」
「交通費、教育にかかる費用は国が負担する。それで構わないか?」
「仕方ない。では娘の入学を認めよう。これも貴族の娘だ少し予算はかかるが構わないな?」
「その辺りは後日清算してくれ。移動は此方で手配する」
「ではそれで。何ならもう此方に帰さなくても良いからな」
「聞かなかったことにしておきます……娘の方が賢いみたいだな」
「何か言ったか?」
「いえ、では失礼する」
出来るだけ可及的速やかに準備してると妹が呼んでるらしい。
めんど……ではなく今忙しいのに。
「サザンカ何か用が有るの?私忙しいのだけれど?」
「あらお姉さ……もう出て行くからツバキさん、かしら?何か家で不要だから全寮制の学校に通わされるようですね。おかわいそうに。でも家を出たら平民。病弱な私とどちらが長生きできるかしらね?」
「サザンカ……そうね私より先には死なないで。私はこの家には合わないけど適当に働いて生きていくわ」
「あら物分かりがいい人ね。最初から私に逆らわなければ優しくしていたのに」
「逆らう?」
「すぐに~してはいけないとか偉そうなのよ。パパもママも何も言わないわ。好きに生きなさいって」
「そうね。そう考えるのね。可哀そうに」
「本当に外れの姉だったわ。まあ元気でね。最後位はやさしくしてあげる」
「ありがとう。当分会う事はないでしょうね」
本当に可哀そうだと感じた。貴族の娘でも……いや貴族なら常識は必要よ。
もし元気になったらどうするのかしら?
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