第4話 エネルギーの不思議な世界へようこそ

 カナとリクは、丘の上で風の心地よさを感じた翌日、学校の帰りに不思議な噂を耳にした。それは、町外れの森の中に「エネルギーの泉」と呼ばれる場所があるという話だった。そこでは、見えない力の正体を知ることができるらしい。


 「カナ、行ってみようよ!」リクは目を輝かせながら言った。


 「ちょっと怖いけど……行ってみたい。」カナも好奇心に駆られ、2人は森へと向かった。




 森の中はひんやりとして静かだった。木々の間からこぼれる光が道を照らし、風が葉を揺らす音が耳に心地よく響く。歩き続けるうちに、2人は小さな泉にたどり着いた。泉の水面は鏡のように澄んでいて、触れると不思議な温かさを感じた。


 そのとき、泉の近くから声が聞こえた。振り返ると、年老いた男性が立っていた。白い髭をたくわえ、優しい瞳で2人を見つめている。


 「君たちは、エネルギーの世界に興味があるようだね。」


 「ええ!エネルギーって、どういうものなんですか?」リクが勢いよく尋ねると、男性は笑って答えた。


 「エネルギーは、見えるものと見えないもののバランスで成り立っているんだよ。たとえば、この泉の水は見えるけれど、君たちが感じている温かさは見えないね。でも、そのどちらも泉の一部なんだ。」


カナは泉を見つめながら、「じゃあ、私たちの心もエネルギーなんですか?」と尋ねた。


「その通りだ。心のエネルギーは見えないけれど、言葉や行動を通じて外に現れる。だから、自分のエネルギーをどう整えるかが大切なんだ。」




 男性は泉の水をすくい上げ、2人に見せた。「この水のように、エネルギーは形を変えるんだ。強い想いがあれば、それは現実になる力に変わる。でも、そのためには、自分の中にある見えない力を信じる必要がある。」


 「どうやってその力を引き出すんですか?」カナが尋ねると、男性は目を閉じて静かに答えた。


 「まず、自分の心を静かにしてみなさい。余計な考えや不安を手放すこと。それができたら、自分が本当に欲しいものをイメージするんだ。そして、そのイメージが実現しているところを思い描く。」


 2人は目を閉じて、男性の言葉に従ってみた。カナは家族と笑い合う幸せな日々を、リクは学校で友達と楽しそうに話している場面を思い浮かべた。不思議なことに、心が温かくなり、力が湧いてくるように感じた。


 「その感覚だよ。それが君たちのエネルギーなんだ。」




 泉のほとりで過ごすうちに、2人はエネルギーが特別なものではなく、日常の中に溶け込んでいることを知った。そして、その力をどう使うかが、自分たちの未来を変える鍵になると気づいた。


 「エネルギーを信じて、これからも使ってみよう!」リクが笑顔で言うと、カナも力強くうなずいた。泉の水面に映る2人の姿は、どこか少しだけ大人びて見えた。

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