先輩との過ち
「凄いカオスなことになってますね」
まず、サークル関係者数人から流奈との関係を取り持つようなメッセージが38件。
流奈からと思われる不在着信が103件来ていた。
一晩で、これだけの惨劇が繰り広げられていたという事実に、少し戦慄してしまう。
月曜日、大学に行くのが狂わしいほどに憂鬱である。
「見せて見せて。うわぁ、凄いね。ちょー焦ってるじゃん」
「そうなんですかね」
付き合ってから昨日までずっと受け身だったのに、今更グイグイとくる彼女の行動原理が全く理解できない。
僕たちが積み上げてきた2年半とは一体何だったのだろうか。
酸いも甘いも経験した過去を振り返っても、僕が探し求めている答えは一向に出てこない。
「元カノさんとは結構長かったんだよね?」
「高2から付き合ってました」
「君は優しいから、安心しちゃったんだろうね……私なら君を悲しませないのに」
真香先輩は、僕の胸の内を見透かしているかのように、深い深い碧眼で見つめてくる。
いつも通り僕を茶化しているだけなのに、今日は何だかとても色っぽく見えた。
「た、確かラーメン屋を出たくらいには、もう終電になってたんですよね!?」
この雰囲気に居た堪れなくなった僕は、わざとらしく話を変えた。
冗談だとしても、他者から求められるとどうしたら良いか分からなくなるのだ。
そんな自分の弱さに自己嫌悪しながら、取り繕うようにして真香先輩の方へ視線を向けた。
「うん。あの状態の君を放置出来なかったから、近場のホテルにチェックインして、泣いている君をぎゅーしているうちに……そのままって感じかな?」
「な、なるほど」
よく周囲を見渡すと、左隣の丸机に僕らの衣類が無造作に置かれていた。
几帳面な僕と真香先輩の衣類が何一つ畳まれていないことからも、それがいかに突発的衝動だったかを示唆している。
枕元にある備え付けのアメニティのコンドームも空っぽになっており、実際に事が行われたのだと改めて実感させられた。
「き、君は私とじゃ嫌だったの…?」
罪悪感や記憶の欠如で黙りこくっている僕の手を、真香先輩は不安気な表情を浮かべ、握ってきたのだった。
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