第10話 生徒手帳を拾っただけなのに

 次の日学校に行くと面白い事に二股浮気女と生徒会私物化間男の話題で盛り上がっていた僕の頑張りが結果を表した瞬間だった。


 ホームルームが終わり僕は生徒手帳の落とし主に届けようとしたが誰だか分からなかった手帳の表紙には写真と名前だけだった中は見れない様に僕がしたのだ

余計な詮索をされない為に。


不本意ながら隣の男子に聞いてみた。


「ねえ伊勢あゆみってしっている?」


「伊勢さん?知っているよ超有名人だよ

読モもやっている多良田高校のトップクラスの美少女四天王の一人さ!」


 四天王?何処にもいるんだな四天王だらけだろと貴幸は思っていた。


「そうなん、クラスだけ分かれば良いだけどな」


「隣のB組だよ」


「そうありがとう」


僕は席を立ち隣のクラスに向かった。


「すみませ〜ん伊勢さんはいますか?」


「伊勢さん?伊勢さんは後ろの席だ」


 後ろになんか派手なギャルがいた。

コイツか?


「すみません伊勢さんですか?」


「ん?あーコレかあの安倍屋の元カレ」


「元カレ?伊勢さんですよね」


「そうだけどなんか用」


「昨日近くのコンビニで貴方の生徒手帳を拾ったんですコレで間違いないですか」


「お!コンビニか落としたのは

サンキューな」


「確かに渡しましたそれじゃ失礼します」


 踵を返し帰ろうとすると伊勢さんが呼び止める。


「ん?そのまま帰るのか」


「落とし物を届けたので教室に戻りますよ用事は済みましたから」


「私に見返りを求めないのか?」


「何故全然知らない貴方に?」


 貴幸はコイツ何言ってんのって顔をしていたが伊勢にバレてしまった。


「ハハハアンタ面白いな放課後また来いや」


「イヤですすぐに帰ります」


「なっ!私の誘いを……」


「授業が始まりますので失礼します」


 何なんだよ随分甘やかされて育ったようだな大丈夫かよ。あの女は女王様か!


 いつものように終わると用事も無いから僕は昇降口向かう上履きから靴を履き替え帰路に着く。


 ん?誰だ家の前にいるのは……あ、アイツかなんの用だ。


「貴幸待っていたの私の話を聞いて!」


「昨日散々僕に話掛けるなと言ったよね

もう忘れたの」


「違うのよ!」


「何が違うの相談なら彼氏に話せばいいでしょう信用できるんでしょう。

僕に構わないでくれよ!」


「貴幸!」


 涙ぐんで必死に僕にしがみ付くがその手を払って僕は家に入り鍵を閉める。

アイツの鳴き声が聞こえるが裏切ったのはアイツだあの時の嬉しそうな顔は忘れない!……結構根に持っているな僕は。



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