第9話 色の抜けた毎日
放課後になり僕は職員室に岡村先生に会いに行った。
ノックをしてから僕は引き戸を開け岡村先生を呼ぶ。
「失礼します一年C組の黒宮です岡村先生はいらしゃいますか?」
「おー黒宮ここだ待っていたぞ!ここじゃ何だから別室に行こう」
「はい」
進路相談室に向かった。長テーブルに先生と向かい合って座った先生は直ぐにお茶を淹れてくれた。
「で話とは」
「実はこの学校に入る為死に物狂いで勉強してやっと入れたんですけど特に最近全てに対し面倒くさくなって退学して大検を受けようかなと考える様になったんですよ」
「大検か三年生辺りなら頑張れは取れる資格だけど一年だったら三年分の勉強を一人でしなければならないから大変だぞ」
「ええ、それは理解しています。
ただ学校行事では正直無駄な事が多いでしょうその全てをパスしたら卒業は出来ないのですか?」
「学校行事をパスね」
岡村先生はお茶を口に含んだ。
「今で言えば林間研修とか運動会や文化祭来年の修学旅行などもろもろです。
ただの遊びでしょう授業の内に入らない筈です時間とお金の無駄だと思います。
ですので最低限の出席で僕は卒業したいんです。出来ますよね」
「修学旅行も行かないのか」
僕がお茶を一口飲んだ茶葉の香りが鼻から抜けていく。
「其れこそ無駄の塊です何で行きたく無いものを学校の生徒達と行かなければならないんです業者に賄賂でも貰っているのですか?」
「それは無いと思うが行事の単位ついて調べておくよ」
「お願いします本当に最低限単位で卒業したいんです余計なことはしないで下さい即退学しますのでこの学校の価値は僕には何も無いと思っています」
ハァ〜何でこんな所受けたのかな
僕のミスかあの馬鹿に乗せられたのか。
岡村先生との話は一旦終了して再度面談する事になった。
僕が教室に戻ると昼の僕達の話が広まっていた。
生徒会やアイツらの評判など僕には関係無い好きにすれば良いさ僕は鞄を持って昇降口に向かった。
グランドから聞こえる部活の掛け声が妙にイラついた本当に鬱陶しいものだ。
最近特に人が猿に見えてしょうがないのだ雄の猿、雌の猿、毎日盛りまくっている猿だ。僕が駆除してもいいんじゃ無いかと思っている。
帰り道僕はコンビニに寄った正面入り口の横に手帳の様なものが落ちていた。拾わずに良く見て見ると多良田高校の生徒手帳だった。
僕はポケットティッシュを一枚取り出しその生徒手帳を摘み上げ店内に入った。
「すみませ〜ん!」
大学風のバイトのお姉さんだ多分綺麗なんだろうな顔が全然頭に入って来ない。
「は〜い」
「店の入り口で多良田高校の生徒手帳を拾ったんですが僕も多良田高校の生徒ですので明日にでも届けようと思います」
此れ証拠ですと僕の生徒手帳を提示し確認をして貰う。
「そこで申し訳ないのですが小さなビニール袋に手帳を入れてテープで留めてくれませんかそれとそれを入れるレジ袋も下さい。飲み物とお菓子は鞄に入れるので袋は要りません」
「もし後でこの持ち主が来ましたら明日届けますとお伝えください。
宜しくお願いします」
僕は生徒手帳を拾い面倒ごとも拾ったようだ。
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