第56話 アーネストに逆らうアリシア 後編

私はただ、ご主人様のそばにいたかった

それしか望まなかった

あの時もそうだった

「・・・ご主人様と、初めてキス、唇のキスをした時、覚えてますか?」

「・・・お前を連れて馬で遠出した日のことか?」

「はい、そうです」

「・・・」

「ご主人様は私に聞きました

昔、私がなんで泣いていたのか

私は、答えたくなかった

ご主人様はそれ以上聞かないでくれました」

「・・・」

ご主人様は椅子に座って私を見下ろしている

私は全裸で床に座ってご主人様を見上げている

13歳の時の私が今の私を見たらどう思うだろう

恥ずかしいと思うだろう

悔しいと思うだろう

弟、実の弟相手に、なんて姿で私は、と

でも、それでも、13歳の私は、こうなる未来を選んでいたろう

だって、あの時の私は、思い描いていたから

成長した私たちが、いつかこうなることを

「私は、13歳の私は、あなたと逃げたかった

まだ6歳のあなたと、誰も来れない世界に、二人きりで、逃げたかった

あなたと二人で、生きたかった

死ぬまでずっと、何十年も、二人だけで

誰にも邪魔されずに、あなたと

私はそんな夢を、見ていました」

「その夢の中で、俺はどうだった?」

「え?」

「大人になった俺を、お前は思い描いたか?」

「・・・」

・・・言わないといけない、ちゃんと、今度はちゃんと言わないといけない

「・・・はい」

「大人になった俺とお前は、どうなっていた?」

「・・・」

「俺は、大人になっても、お前の弟のままだったか?」

「・・・いいえ・・・大人になった私たちは・・・

あなたは男で、私は女でした」

「男である俺にお前は、抱かれていたか?」

「・・・」

13歳の私は、血のつながった実の弟、まだ6歳だった弟、私を信じている弟と、暮らす夢を見ていた

いつまでもずっと一緒に暮らす夢

私はその中で、私は、夢見ていた

大人になった弟の姿を

大人の男性になった弟の姿を

私はそんな弟と・・・結ばれる夢を、見ていた

「・・・まただんまりか?」

「いいえ!答えます!ちゃんと言います!」

「では答えろ

お前はその夢の中で、俺に抱かれていたか?」

「・・・はい、そうです」

ああ、言った、言ってしまった

「私は、大人の男性になったあなたに、抱かれていました」

13歳の私は、まだ6歳の実の弟に、恋していた

本当に本当に、恋していた

恋以外の、恋ではない何かに変えようとした

誤魔化すことはできた

恋だとわかっていながら私は私を誤魔化すことはできた

でも恋はずっと恋のままだった

姉である私はずっと、弟を、アーネストを愛していた

弟ではなく男性として、愛していた

「私はずっと、あなたを愛していました、ご主人様

・・・あなたに抱かれるときを夢見ていました

姉ではなくただの女としてあなたのそばにいることを私はずっと夢見ていました

私はそんな自分が情けなかった

でも、逃げたかった

あなたと逃げたかった

二人だけで逃げたかった

誰も来れない場所へ二人だけで、二人だけでずっといつまでも暮らせる場所へ、私は」

私は

私は

「私はずっと、あなただけの物でいたい

それしか欲しくない、それしか望まない

あなたの物でいたい

それが叶わないとあの時の私は思った

だから、だからあの時の私は、泣いたんです」

言おう

全部言おう

「私はだから、幸せでした、あなたの奴隷になれて

あなたの奴隷になって毎日が夢みたいで

私はあなたの奴隷になって初めて、幸せになれました

毎日毎日あなたのそばにいられて

毎日毎日あなたの声を聞けて

毎日毎日いくらでもあなたを思えて

私はあなたの奴隷だから、あなたを思っていい

いくらでもあなたのことを思っていい

叶わないと思った夢が、叶った

私はずっと、ずっと幸せでした、あなたの、ご主人様の奴隷になってから、ずっと、ずっと」

ああ、言った、言ってしまった

やっと、やっと言えた

やっと言うことができた

「私はずっと」

「俺も同じだ、アリシア

俺もお前と生きる未来だけを望んできた

お前が何も言わず泣いたあの時も、俺はお前と生きる未来だけを望んでいた

わかるかアリシア?

お前と俺はずっと、同じ未来を夢見ていたんだよ」

「・・・」

「俺はずっとお前を望むただの男だった

アリシア

俺はお前の弟じゃない

俺はお前を望むただの男だ

今も昔も、ずっとな」

「・・・嬉しい」

嬉しい

ああよかった

ご主人様は私を許してくれる

13歳の時の私も、今の私も、変わらず許してくれる

私はこれからもご主人様の物でいられる

嬉しい

「・・・でも、それじゃ困りますよね姉上、僕はあなたの弟にはなれない

あなたの弟を演じることはできても、あなたの本当の弟にはなれない」

「・・・え?」

「姉上は僕から姉として認めてほしいんですよね?」

「・・・いいえ!いいえ!」

「・・・」

「嫌です、嫌ですご主人様、私は姉として認めてほしくなんかありません」

「・・・」

「お願いですご主人様、もう二度とあんなことは言いません、もう二度と言いません、言わないから、だから」

「黙って聞け」

冷たい声でご主人様が言った

私を見下ろしながら

「・・・でも、それじゃ困りますよね姉上、僕はあなたの弟にはなれない

あなたの弟を演じることはできても、あなたの本当の弟にはなれない」

「・・・え?」

「姉上は僕から姉として認めてほしいんですよね?」

「・・・いいえ!いいえ!」

「・・・」

「嫌です、嫌ですご主人様、私は姉として認めてほしくなんかありません」

「・・・」

「お願いですご主人様、もう二度とあんなことは言いません、もう二度と言いません、言わないから、だから」

「黙って聞け」

冷たい声でご主人様が言った

私を見下ろしながら

ご主人様は私の主

私はご主人様の奴隷

決めるのはご主人様

私は従うだけ

「・・・僕はあなたの弟にはなれない、あなたを姉として認めることもできない

弟を演じ、あなたを姉として認めているふりしかできない

でもあなたはちゃんと僕から姉として認めてほしい、そうですよね?姉上」

もうやだ

もうやだやめて

もう聞きたくない

姉なんて呼ばないで

私は首を振る

ご主人様は冷たい目で私を見下ろしている

「僕とあなたが本当の姉弟になることはこのままじゃできない、そう、このままではね

でもいい方法があるんですよ、姉上」

楽しそうに残酷にご主人様は笑う

私は泣いているのに

「記憶消去の魔法をつかいましょう」

「・・・え?」

「魔法を使ってあなたの希望を叶えましょう、姉上」

「・・・なにを、するんですか?」

「僕の記憶から、あなたを消すんですよ、姉上」

冗談はやめてほしい

そんな恐ろしいこと

「冗談は、やめて、ください、ご主人様」

「冗談?ははは、面白いことを言う人だ

あなたの望みを叶えてあげようと言っているのに」

「私はそんなこと望みません」

「黙って聞け」

体が固まる

私はご主人様の奴隷だけど、こんな時にこんな命令は嫌だ

嫌だ

でも逆らえない、私は奴隷だから、ご主人様の奴隷だから

奴隷でいたい

ご主人様の奴隷でいたい

「僕はあなたとのことをすべて忘れる

あなたの言葉

あなたの笑顔

あなたの泣き顔

あなたの声

あなたの柔らかさ

あなたの匂い

・・・あなたの唇

僕は魔法でそれらすべてを僕の記憶から消す」

「・・・やめ、て」

「ああ安心してください

あなたのことは知識として知ってはいる状態になります

あなたの王女としての身分と名誉も回復します

そしてあなたは、あなたの望み通り、僕の姉になれます

僕はふりではなく本当にあなたの弟になります

よかったですね姉上

やっと僕の姉になれますよ、今度こそ」

「やめて、やめてください、お願い」

「嫌ですか?」

「嫌です、お願いです、そんなことはしないで」

「・・・」

「嫌です

私はあなたの姉になんかなりたくない

私は

私はあなたの奴隷でいたい

あなたの所有物でいたい

あなたの物でいたい

私は、私は」

「じゃあこうしましょう

姉上、あなたの記憶からも僕を消しましょう」

「・・・え?」

「僕があなたを忘れるだけじゃない

あなたも僕を忘れるんです

二人して記憶消去の魔法をかけて、お互いを忘れましょう

そして今度こそ、本当の姉弟になりましょう」

「嫌・・・やめて、お願い」

「心配しなくても大丈夫ですよ姉上

会えなくなるわけじゃない

ただの男と女から、姉と弟になるだけです

生涯ただの姉と弟になるだけです」

「やめて!お願いやめて!やめてください!お願いですご主人様!そんなことしないで!

私からあなたを消さないで!

お願い!

私から、あなたを消さないで!」

「じゃあ僕の記憶にだけ魔法をかけてあなたを忘れるだけにしましょうか?」

「それもやめて!忘れないで!私を忘れないで!

お願い!そんな魔法使わないで!

お願いですご主人様!

これからはずっとご主人様に逆らいません!

二度と自分を姉だなんて言いません!

本当です!

だから、だからそんな魔法使わないで!お願い、お願いだから」

「・・・」

「お願いです、お願いですご主人様

私を、私を捨てないで

私を捨てないでください」

「勘違いするなアリシア、お前は勘違いをしている

俺がお前を捨てるんじゃない」

「え?」

「俺がお前を捨てるんじゃない

お前だアリシア

捨てたのはお前だ

お前が俺を捨てたんだよ、アリシア」

「・・・私?」

「お前が俺を捨てたんだ、間違えるなアリシア

俺からお前は逃げた

今までずっと俺から逃げ続けてきた

それでも俺は待ち続けた

俺を裏切ったお前を許し続けた

お前は剣に逃げ、ハミルトンに逃げた」

「ち、ちが、違います、私は伯父様を愛しては」

「同じことだ、お前は俺を裏切った、それに変わりはない」

「・・・」

「それでも俺はお前を許し続けた

お前を愛しているから、俺はお前を許し続けた

ああ、頭がおかしくなりそうだった

お前が憎くて仕方ないのに、許す、愛してるから許すしかない

でも俺は狂いそうだった

俺から逃げたお前

俺の物なのに

お前は俺だけの物なのに

俺以外の男のもとへ逃げた

俺から逃げた

俺はずっとお前が憎くて仕方なかった

そして昨日もお前は俺から逃げた

俺の与えた魔道具で俺から逃げた

お前を信じて与えた魔道具でお前は俺から逃げた

そして今は、今は

・・・初めてお前を抱くのに、初めてお前を抱く時だと言うのに、お前は俺を弟扱いした」

「・・・」

ああ

そうなんだ

私はずっと逃げていた

ずっと、アーネストから逃げていた

アーネストを愛しているのに

アーネストは私のすべてなのに

アーネストに愛してほしいのに

アーネストと愛し合いたいのに逃げ続けた

アーネストに抱かれる

やっとその時が来たのに

なのに

私は逃げた

自分をまた誤魔化した

「ご主人様私は」

「黙れ、勝手にしゃべるな、言い訳するな、もうたくさんだお前の嘘は

今この時、お前から弟扱いされた俺が平気だったと思うか?

何とも思わないからお前は今も言い訳するのだろう?

ふざけるな

俺はもううんざりなんだよ

お前の嘘に

自分のことしか考えてないお前に

自分勝手なお前に

お前という女に俺はもううんざりなんだ」

「・・・捨てないで、捨てないで私を」

「今言ったろう俺は

捨てたのは俺じゃない

お前だアリシア

俺がお前を捨てたんじゃない

お前だ

お前が俺を捨てたんだ

俺のしてきたこと

俺とお前のためにしてきたこと

そのすべてを、お前はダメにした

そのすべてを、お前は笑いながら、捨てたんだよ!」


私は

私はただ

一度でいい

一度でいいからあなたと対等になりたかった

ああ

そんなことにこだわって私は、なんてバカなことを


壊してしまった

ダメにしてしまった


私の夢を

アーネストがここまでしてかなえてくれた私の夢を

叶うはずがないとあきらめることしかしなかった私の夢を

こうして、こんなにもかなえてくれたアーネスト

私のご主人様がかなえようとしてくれた私の夢を

私は

私は壊してしまった

自分でダメにしてしまった


叶わないはずだった

一生叶わないはずだった夢をご主人様はかなえようとしてくれたのに、私は自分で、ダメにしてしまった


「・・・ハッ、ハッ・・・ハッ・・・ハ・・・」

呼吸が苦しい

「ハッ・・・ハッ・・・」

「・・・」

ご主人様は椅子に座ってじっと私を見下ろしたままでいる

「ハッ・・・ハッ・・・」

「・・・」

助けてくれない

ご主人様が私を、助けてくれない


終わったんだ

もう


私が、余計なことをしたから


私が


「・・・・うっ・・・ひっ・・・ひっく・・・ひっ」

嗚咽

もうご主人様は私を助けてくれない

どんなに泣いてももう

でも止まらない

涙が止まらない


「ひっ・・・・ひっ・・・」


叶えてもらえるはずだった

もうすぐ叶うはずだった


私の夢を

私がずっと望んできた夢を


ご主人様は叶えようとしてくれていた


なのに私は自分でそれをダメにした


もう戻れない


もう


「アリシア」

「・・・」


優しい声


私はご主人様を見上げる

まだ足は組んでいる


でもその目は、優しい


「・・・」

「アリシア、返事をしろ」


優しい声

戒めを含みつつ、優しい

・・・期待するのが怖い


「は、はい」

「・・・立てるか?」

「え?」

「・・・ゆっくりでいい、立てるか?」

「・・・」


優しい声

私の気のせいなんかじゃない・・・と思う


「は、はい、立てます!」

「ではゆっくりでいい、ゆっくり立ち上がれ、それからこっちに来い」


来い、そう言ってくれた

来い、と


「は、はいすぐに」

「ゆっくりだ」

「は、はい」


私は立ち上がる

足が震えている


「あ」

倒れる

そう思った


「・・・無理をするな、アリシア」

耳元で声がした


たくましい腕で私を抱き止め、ご主人様がそう私に言った

優しくて

それでいて私を戒める声


椅子から立ち上がって、倒れ抱えた私を抱き止めてくれた


「・・・アリシア」

「・・・ご主人様」


見つめ合う私たち

ふいに、ご主人様の腕に力がこもった

私は目をつぶる

こういうとき、キスすると私は知っているから

もう何度も私たちは、キスしてきたのだから


「・・・」

「・・・」


お互い無言で、私たちは唇を重ねる

もどかしい

舌を絡め合いたい気持ちなのに、それを抑える


唇を離したらまた私たちは


「・・・」

「・・・」


見つめ合う


「・・・アリシア」

「はい」

「・・・姉上と呼んでほしいか?」

「いいえ!」

「・・・」

「嫌です!絶対に嫌です!絶対に!」

「では俺からどう呼ばれたい?」

「・・・名前を、私の名前を、呼んでほしいです」

「・・・俺も、お前を名前で呼びたい、アリシア

姉などと呼びたくはない、二度と」

静かにご主人様が言った

私を姉と呼びたくないと

静かにそう言った

嬉しい

私を姉として認めない

否定してくれる

「俺の口調はどうだ?

この口調と、敬語、どっちがいい?

どっちをお前に使ってほしい?」

「・・・その口調がいいです」

「敬語は嫌か?」

「はい」

「そうだな、俺もそうしたい

・・・お前は俺の物なんだからな、アリシア」


ビクッ、と私は全身が震えた

お腹の奥がきゅっとする


それから今言われた言葉をかみしめる


『お前は俺の物』


ご主人様はそう言ってくれた

私をご主人様の物だと言ってくれた


嬉しい


「・・・アリシア」

「はい、え?あ・・・」


そう思っているとまた抱き寄せられてキスされた


ああ、これがいい

私の同意を確かめることなく当たり前に奪ってくれるキスがいい

私はご主人様の物なのだから、こうして、当たり前にキスしてほしい


舌が入ってくる

私はそれを受け入れる

「・・・」

「・・・」

舌を絡め合う

・・・頭の中が真っ白になる


もっともっと、欲しい

もっと、もっと


不意に、ご主人様の舌が私の舌から離れた


「あ・・・」

「・・・」


じっとご主人様が私を見つめる

・・・戒める目・・・怒っている・・・


また私は、調子に乗って間違ってしまったのだろうか


「アリシア」

「はい」

「俺はお前にこれからチャンスを与える」

「チャンス?」

「お前に与える最初で最後のチャンスだ

二度と与えないチャンスだ、よく聞け」

「はい」


ご主人様はじっと私を強く見つめる

怖くて、愛しいその瞳で私を映す

私の目にもご主人様が映っているはず


今世界に私たち二人きりのような、そんな気持ちになる


「アリシア、お前は俺の物だ」

「はい」

「お前を俺は呼び捨てにするし

敬語を使わずこんな口調で接する」

「はい」

「俺は好きな時にお前を抱き寄せるし、キスをする

そして・・・俺の望む通りに、お前を抱く

お前の体を気遣うよう気をつけるつもりだが・・・時には無理もさせる

・・・抱きつぶすこともあるだろう・・・お前がどんなに泣こうと」

ご主人様が私を睨むように見つめる

覚悟しろと言っている

抱いてもらえる、これから、一生

それを嬉しいと思うより先に、恐怖が湧き上がる

怖い

私の体が、一生をかけて、暴かれ続ける

それを確信している

だから怖い

でも、嫌じゃない

一つも嫌じゃない

私はそれを、望んでいる

「・・・お前に拒否権はない

お前にできることはただ、俺の決めたことに従い、生涯俺のそばにいて、俺に抱かれ続け、俺の物であり続けることだけだ、アリシア」

怖い

だって私はご主人様から逃げられないから

だから嬉しい

だって私は、ご主人様から逃げられないから、一生

「はい、ご主人様」

私はご主人様の腕の中にいる

ご主人様の大きな腕の中に


ここにいたい

ずっとここにいたい


「アリシア、お前はしばらくの間城から外には出さない

しばらくお前を閉じ込めることにする」


その声は、静かに怒っている

ああやっぱり、まだ許してはもらえないんだ

でももう私は逆らわない

だからきっと、許してもらえるはず


「・・・俺はお前に怒っている、わかるな?」

「・・・はい、ご主人様」

「本当であれば、お前をあちこちに連れていくつもりだった

あちこちにお前を連れて行き、国民たちにお前をもっとよく知ってもらうつもりだった

だが、お前は俺を怒らせた

だからお前を無期限でしばらく閉じ込めることに決めた

アリシア

お前に拒否権はない

俺の決定にお前はただ従う、わかるな?」

「・・・はい」

「・・・アリシア、俺はお前をこのまま一生外には出さないかもしれない」

「・・・え?」

「俺は、一生、お前を城の外には出さないかもしれない」

「え?え?」

「もし俺がそうすると決めたなら、お前はもう二度と城の外には出れない

お前をどうするか決めるのは俺であってお前ではないからだ

お前は俺の物だ、アリシア」

「・・・」

本気だ

この人は本気で言っている

本気で私を生涯王宮に閉じ込めるかもしれないんだ

もし私が今この人を怒らせたら・・・


不意に、私を抱きしめる大きな腕が、そのたくましさが、怖くなった


「震えているな、アリシア」

「・・・」


ご主人様はかすかに笑っている

怒らせたくないもうこれ以上


「お前は今、俺を怒らせまいと思っているな?」

「・・・」

「アリシア、答えろ」

「はい、そうです」

「はははは、そうか・・・あのなアリシア

もし今これから先お前が俺を一切怒らせることをしないとしても、俺がお前に怒ることがないとしても、

それでも俺はお前を一生閉じ込めるかもしれないんだよ、アリシア

お前がどんなに俺を怒らせないようにしても、関係ないんだよ

俺がお前を生涯閉じ込めることを決めたなら、俺はお前がどんなに泣こうと生涯お前を閉じ込める

俺が決めたとおりにする

お前に決定権や拒否権はない」

「・・・」


怖い


「・・・怖いか?」

「・・・」

「聞こえてないのか?俺は怖いかと聞いているんだ、アリシア」

「はい、怖いです」

「そうか、怖いか、だが諦めろ、俺だ、俺がお前の主だ

お前は俺の所有物だ

俺から逃げることはできない

これがお前の運命だ、アリシア」

「・・・」

「アリシア!」

「は、はい!」

「ちゃんと返事をしろ」

「はい」


ご主人様が私を睨んでいる

強い目で

この目

この人は初めから私をこの目で見ていた

私はこの目が、ずっと怖かった

私はこの目には、勝てない、絶対に


もう逆らうなんて私には考えられない


「アリシア」

「はい」

「お前は、閉じ込められるのはいやか?」

「・・・」

「言っておくが、嘘は言うなよ?

正直な気持ちを言え

俺に閉じ込められるのはいやか?」

「・・・怖いです」

「・・・そうか、では、どれぐらい怖い?」

「・・・・とても、怖いです」

「俺が怖いか?アリシア」

「・・・はい、怖いです、ご、ご主人様」

「・・・そうか、正直に言ったな、それでいい

アリシア

お前にチャンスをやると俺はさっき言ったな

覚えてるか?」

「はい」

「お前にチャンスをやろう」

「チャンスですか?」

「そうだ、二度とないチャンスだ

一生に一度きりのチャンス

お前にこのチャンスが訪れることは二度とない」

「・・・なんのチャンスですか?」

「さっき、俺がお前に言ったことだよ」

「え?」

「言ったろ?

お前についての俺の記憶を消し

お前を本当の意味で俺の姉にしてやるという話だ」


ご主人様が笑う

じっと私を見つめて笑う


もう二度と言わないでほしかったことを笑いながら


「やめて、やめてください、ご主人様、お願いです」

「黙って聞け」

「・・・」


ご主人様の目が、じっと私を見つめる


「お前についての記憶を俺から消し、お前を本当の意味で俺の姉にする

いやか?」

「嫌です」

「だがこれでお前は、自分で自分のことを決めることができるんだぞ?

俺ではなく、お前が自分で自分のことを決めるんだ

それが人間と言うものだろう?」

「嫌です、嫌ですそんな、そんなことをチャンスなんて言わないで、そんなの、そんなの」

「アリシア、これはチャンスなんだよ、お前にとって」

「やめて、やめてください」

「これを選べば、お前は俺から自由になれるんだぞ?

俺から逃げられるんだぞ?」

「私はそんなことを望んでいません!

私は、私は」

「・・・」

「私はただ、あなたのそばにいたい

ずっと、ずっとあなたのそばにいたい

ずっと、あなたの物でいたい」

「・・・」


ご主人様はじっと私を見つめている


「お願いです、ご主人様、私をご主人様の物でいさせてください」

「・・・」

「ご主人様、ご主人様」

「俺の物でいる限り、お前は俺の所有物で、決定権も拒否権もないんだぞ、一生」

「いいです、それでいいです」

「俺は今この瞬間にも、このままお前を一生ずっと閉じ込めようと思うかもしれないぞ?」


怖い

ご主人様は本気だ

本当に、本当に私はこのまま一生お城の中で外には出してもらえないかもしれない

これは現実だ

私は今私の所有者の腕の中にいる

逃げられない



・・・でも


「はい、それでいいです

ご主人様がそう決めたなら、どうか、そうしてください」

「・・・」

「だから、私をどうか、ずっと、ご主人様の物でいさせてください」

「・・・いいんだな?俺から自由になる最初で最後のチャンスだぞ?

お前はこのチャンスを放棄する

俺の物でいることを選ぶ

間違いないな?」

「はい」


ご主人様の目が私を映している

私の目も、きっと、ご主人様を映している


「わかった、安心しろアリシア

お前はずっと、俺の物だ

・・・俺の所有物だ」

「・・・はい、ご主人様」


グッと、抱き寄せられた

目をつぶってキスを待つ一瞬、もう逃げられない、そのことがわかった

わかってそれが、嬉しかった

もうこの腕から逃げられない

そのことが何よりも嬉しかった


・・・硬くて、とても大きなものが当たってる


気づかなかった

それどころじゃなかったから


「どうした?」

「・・・あの、いつから」

「ん?いつから?何がだ?」

「・・・」

私は視線を下に向ける

「ああ、これか、ずっとこうだったぞ?」

「え?」

「俺のこれはずっとこうだったぞ、アリシア」

「・・・」

私は全然気づかなかった

「椅子に座ってずっと足を組んでいたのは、これを隠すためだ」

「・・・」

「俺はずっと、こうだったよ、こうなっていたんだよアリシア」

「・・・」

この人は、私をあんなに怖がらせた

捨てられると思った私は本当に怖くて、怖くて

でもこの人はずっと、こうだったの?

私はあんなに怖くて、怖くて、悲しかったのに

「アリシア」

「ん・・・」

キスを続ける私たち

容赦なく私を蹂躙するご主人様

それを受け入れる私

息継ぎの時間さえ惜しい

でも

「・・・どうしたアリシア?なぜそんな目をする?」

「・・・ご主人様は、ずっと、その、大きくしてらしたんですか?」

「ああそうだ、ずっとこうだった」

「さっきからずっと?

私に怒ってる間もずっと?」

「ああそうだ」

「・・・」

嫌だ

嫌と言うか、なんで?

私はあんなに、あんなに怖くて、悲しかったのに

「どうしたアリシア?」

「ご主人様は平気なんですか?」

「なにがだ?」

「私は、ご主人様があんなことを言うから」

「あんなこと?」

「私を捨てることを、チャンスなんて言った」

「・・・」

「あんな、あんなことを言うから、私は本当に、本当に悲しかったのに、ご主人様は平気だったんですか?

私がいなくなっても平気なんですか?」

「平気なわけないだろうアリシア」

「じゃあなんであんなことを言ったんですか?

なんであんなひどいことをチャンスなんて言ったんですか?」

「・・・」

「私は本当に、本当に悲しかったのに・・・んんっ」


不意に、キスされた

有無を言わせないキス

私を黙らせるためのキス


蹂躙されることはいい

私はいくらでも受けいれる

だって私はご主人様の物だから


でも、誤魔化してほしくない


「誤魔化さないで」


私は抗議する

奴隷なのに

でも抗議しないではいられない


「キスで誤魔化さないで、なんで、なんであんなひどいことを言ったの?言ったんですか?ご主人様」

「・・・」

「私は本当に、本当に悲しかったのに、ご主人様は平気だったんですか?

私がいなくなっても平気だったんですか?」

「平気なわけないだろう、アリシア」

「じゃあなんで、なんでこんなに、こんなに大きく、大きく」

「裸のお前を前にしているんだ、当たり前だろ」


ああ、私はバカだ

嬉しい、そう思ってしまった


「だって、あんなことを私に言って、私がいなくなってもご主人様は」

「お前を手放す気なんて俺にはなかった、一度も

俺がお前にチャンスを与えたのも、お前は必ず俺の物でいることを選ぶとわかっていたからだ

だから、俺はお前にチャンスを与えた

初めから答えの分かっているチャンスをお前に与えたんだよ、アリシア」

「・・・」


本当にそうだ

ご主人様は私の答えを初めからわかっていた


「私を手放す気なんかなかった?」

「当たり前だろうアリシア、俺がお前を手放すことは絶対にない

お前の答えなんか初めからわかっていたから俺はお前にチャンスを与えたんだ

俺にはお前を手放す気なんかないんだよアリシア」


安心するのとほぼ同時に、怒りがこみ上げてくる、ご主人様相手に


「初めから私の答えをわかってるなら、あんなこと聞かないでください

あんな、あんなひどいこと」


悲しい気持ちがまたこみ上げてくる


ご主人様が私を手放すことはないと言う喜び

ご主人様から捨てられると思ったあの恐怖

悲しみ


そして、私の気持ちをわかってるくせに、あんなひどいことをわざわざ私に聞いてきたことへの怒り


「お前が目の前で泣いていて、俺が平気だったと思うな

俺も辛かった

お前を抱きしめたかったよ、アリシア

抱きしめてお前を安心させたかった」

「嘘」

「アリシア!」


ご主人様が私に強く言う

私に言いきかせるために


「・・・俺はお前を抱きしめたかった、本当だ」

「・・・」


私たちは見つめ合う

嘘はつけない


「・・・だったら、なんで、なんで抱きしめてくれなかったの?

私は本当に、本当にあなたに捨てられると思って、もうダメなんだと思って」

「お前に思い知らせる必要があった

ああすることでしか

お前を手放すと言う嘘を言うことでしか、お前に思い知らせる方法がなかった

ああしなければお前はいつまでも、嘘をやめなかった

俺の姉であると言う嘘を、お前はいつまでもやめなかった」

「・・・」


私は目を逸らした

ご主人様の言う通りだから

今の私はもう嘘をつくつもりはない

私はこの人の姉じゃない

私はただの女でしかない

でもこう思えるのは、こうも思い知ったのは、もうダメだと思ったから

ご主人様に捨てられると本気で思ったから


ご主人様が私に思い知らせた

私に教えてくれた


ご主人様が正しい


私は目を逸らしたまま、ご主人様が私を許してくれるのを待つ


「・・・・」

「アリシア、俺を見ろ」

「・・・はい」


私は顔を上げる

ご主人様は・・・怒っている

私を抱きしめるたくましい腕は・・・戒めを含んでいる


「俺はお前を、泣いているお前を抱きしめ、お前を手放すことはないと教えてやりたかった

お前を安心させてやりたかった

早くお前を安心させてやりたかった

だがそれではお前がいつまで経っても姉であると言う嘘をやめない

だから俺はお前に思い知らせるまでお前を抱きしめなかった

わかるな?アリシア」

「・・・はい、ご主人様」

「だがもう一つ理由がある

俺がお前を抱きしめなかった理由がもう一つある

それがなんだかわかるか?」


「・・・」

なんだろう?

わからない

「・・・アリシア」

「あ・・・」

グイッと、私を抱きしめるご主人様の腕に、力がこもった

「アリシア」

「・・・はい」

私をじっとみつめるご主人様

ああ、怒っている

私をまだ全然、怒っている

「わからないか?」

「・・・はい、わかりません」

「そうか、わからないか」

「・・・」

わからない

私に思い知らせるため

それ以外の理由って何があるの?

「お前は怯えていたな

俺に捨てられると思ってお前は心底怯えていた

・・・お前をあんなに怯えさせてでも、お前に思い知らせたかった理由

それはなアリシア

俺が、怒ったからだ」

「・・・え?」

「俺が、怒ったから、それが理由だ」

「・・・」

「アリシア!目を逸らすな!」

「はい!」

怒っている

まだ全然怒っている

「お前にとって俺は弟か?」

「・・・いいえ」

「そうだ

俺はお前の弟ではない

お前の・・・主で、お前の男だ」

「はい、ご主人様」

「二年前までのお前ならそんなことは認めなかったろう

お前は俺を否定し、お前自身の気持ちを否定していたろう、アリシア」

「・・・」

「お前は身分を無くし、魔力を封じられ、俺の奴隷になった

何もかも無くしてお前はやっと素直になった

俺を愛していることを認めるまでに素直になった

俺はただの男で、お前はただの女だ、初めから

俺たちの間にはもうどんな嘘もない

だがお前は、お前を初めて抱く今この時に、また嘘を持ち込んだ」

「・・・」

「アリシア!目を逸らすな!ちゃんと俺を見ろ!」

「はい・・・」

「泣くな!」

「は、はい・・・」

「アリシア、お前は俺の姉か?」

「いいえ」

「その理由はなんだ?」

「・・・」

「アリシア!ちゃんと答えろ!」

「愛してるから!私があなたを愛してるからです!」

「いつからだ?」

「え?」

「いつからお前は俺を愛していた?」

「・・・」

言いたくない、でも

「アリシア!」

私の愛する人は、私がこれ以上偽るのを、隠すのを許してはくれない

「・・・昔から、です」

「どれぐらい昔だ?」

「・・・」

言いたくない

「泣くな!答えろアリシア!」

「ずっと、ずっと昔から・・・ずっと、あなたが小さいころから、あなたがずっと小さいころから、あなたを愛していました」

言いたくないのは、もう戻れないから、言ってしまえば言わなかったことにはできないから

だからご主人様は私に言わせているんだ、もう私が誤魔化せないように

「私は」

私はだから、姉じゃない

ただの女でしかない

まだ小さいあなたを、私よりもずっと小さいあなたを、私は愛していた

弟ではなく、一人の男性として、あなたを見ていた

私はあなたが、私を嘲笑うのが怖かった

私を忌み嫌うのが、怖かった

「俺はずっと知っていたよ、アリシア

お前が俺を愛していることを俺はずっと知っていた

ずっと昔から俺はそれを知っていたんだよ、アリシア」

「・・・」

「どうした?ぽかんとして」

「・・・いつから、ですか?

いつから、知ってたんですか?」

「・・・初めからだ、アリシア

初めから俺は知っていた

お前が俺を愛していることを、俺は初めから知っていたんだよ、アリシア」

タンザナイトの瞳が、私をじっと見つめる

この瞳は、昔から時々私を射抜いては、私はそのたびに目を逸らした

誰にも言えない、私の中にゆらめく炎がある

それを私に突きつけるのはいつだってこの蒼い瞳だった


「アリシア、お前はずっと俺を望んでいた

俺に抱かれることを望み続けてきた

俺は」

ああ、軽蔑してくれたらよかった

私を軽蔑してくれる方がきっとずっと楽だった

でも

「アリシア!」

でもこの人は私を軽蔑してくれない

私を姉だと思ってないから

一度も私を姉だと思ってくれたことがないから

「目を伏せるな!ちゃんと俺を見ろ!」

私を自分の物だと信じて揺らぐことがない

だから私を軽蔑してくれない

私を軽蔑しないで、今こうして、叱っている

この人の女である私を、叱っている

そして私は、私は

「・・・はい、ご主人様」

私はこの人に従っている

この人の物として

この人の女として

姉であろうとするすべてが嘘にしかならない

「・・・」

「・・・」

ご主人様はじっと私を見つめる

戒める目で見つめる

そして私は、ただ、悪いことをして叱られる子供のようにただ、叱られることを受け入れている

「・・・アリシア、俺はずっとお前を見逃してやった、わかるな?」

「・・・はい」

バカバカしいと

私の気のせいだと

浅ましくおぞましい私の願望だと

私の片思いだと

そう自分に言い聞かせてきた

だってこの人は私の実の弟で、私よりずっと子ども

そのはずだかったから


でも、気のせいじゃなかった

この瞳を私はずっと恐れていた

いつか、私はこの人の物になる

そんな予感がいつもあった


この人が私を軽蔑してくれることはない

ただこうして、私を叱るだけ


私は自分の浅ましさを感じることさえ許されない


ただ叱られて震えてそして、喜んでいる


ああ、軽蔑してくれた方がずっと楽だった


「アリシア、見逃してもらえるなどとは二度と思うな」

「・・・」

「俺は二度とお前を見逃すことはない

お前の弟を演じることは二度とない

お前はもう二度と、俺の姉を演じることはできない

俺が許さないからだ」

「・・・」

「アリシア、忘れるな、俺を怒らせたことを

この大事な時に

俺がお前を初めて抱くこの時にお前が俺を怒らせたことを・・・」

「・・・」

ご主人様が目をつぶった

怒りをこらえているみたいに

「俺は、怒ったんだお前に」

目を開けてそう言うご主人様

その声が震えているのはきっと、私に怒っているから

怒られるのが怖い

でも、安心している私がいる

この人が私を怒るのは、叱るのは、私がこの人の物だから

この人の姉ではなくこの人の女だから

だから私は安心している

「俺は・・・」

あ、来る、大きな声が、来る

「俺は本当にお前に怒ったんだぞ!!アリシア!!!」

「ご、ごめ、ごめんなさ、ごめんなさい」

涙が溢れる

でもご主人様が私を睨んでいるのははっきりわかる

「ごめんなさい、ごめんなさい」

それしか言えない

「・・・アリシア、本当に俺は怒ったんだぞ、わかったか?」

「はい・・・はいわかりました」

「・・・」

「わかりました、ご主人様、わかりました」

私は、体と心のすべてが、この人に向かっている、それがわかる

ご主人様はしっかりと私を抱き寄せていて、その腕は大きくてがっしりとしていて、でもそれがすごく私を安心させる

私はこの人から逃れることは絶対にできない



嬉しい


絶対にこの人から逃げられないことが、嬉しくて嬉しくて仕方ない





ここまでです

この後、アリシアは初めてアーネストに抱かれ、初めて「好き」と言う言葉を告白します

それで

いくら言っても全然足りないぐらい愛を告白するアリシア


アーネストの腕の中で幸せに安らいでいるアリシアに、アーネストは怖ろしいことを言います

お前を愛妾にする、と

そこでアリシアは現実に引き戻されます

アーネストはこの時点で、アリシアが自分から逃げようとしてたと誤解してるため、アリシアに復讐の意味を込めて愛妾にすると言っています

でも

アーネストはアリシアをただ一人の妃に、王妃にすると最初から決めているのです

アリシアはそれを知らない

なのでアリシアは、誤解します

ああそうか当たり前だわ

私がなれるのは愛妾なんだ

王妃様にはなれないんだ

誰か別の人がこの方の妃になるんだ

私は妾でしかないんだ


第一部はアリシアが愛妾となることを受け入れたところで終わります

アリシアは絶望の中にいて、でも、アーネストはそれに気づいていません

そんなすれ違いのまま第一部は終わります

もともと三部ぐらいを構想していて、長くても五部ぐらいで終わりにしようと思っています

物語の最後、書きたいと思っている部分についてはアリシアがアーネストの求婚を受け入れ正式に王妃になるところで終わる予定です

実の姉であるアリシアを妻に、妃に迎えるためにアーネストは国民からの絶大な支持を受ける王の中の王となります

アリシアを妃に迎えることを国民に許してもらおうとし、そのころにはアリシアの人となりが広く知られているので、そこで、アリシアはアーネストを守るために嘘をついて、その嘘をアーネストが叱り・・・

いろいろあって、二人の婚姻は特例として認められます

アリシア一人が私は愛妾のままでいいとこだわって、求婚を受け入れるまで時間がかかります


そんな構想です


ここまで読んでくださった方、ありがとうございました

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