第10話 牢獄にて
私は、新しく魔力封じに首輪をはめられ、手かせを外され、牢に入れられた
それから、取り調べが始まった
男たちの大声が、響く
震えたくなくても、体が震える
「私は、何も知りません」
「あなた以外の誰が、王を殺したと言うのです?」
「そんなの知りません、私が部屋についたときには、もう父は死んでいました」
「あなたの剣についた血と王の血は、一致しています」
「あの剣はあそこで拾ったものです、私のものではありません」
「嘘をつくな!!」
何度聞いても、大声、男たちの大声と蔑む視線に、私は震えた
牢に戻ってやっと休める
でも震えが止まない
「あの・・・」
「なんですか?」
嫌そうに牢番が応じる
「あの・・アーネスト・・・王太子殿下は、どうなさって」
「まだ王太子殿下のお命を狙っているのですか?」
牢番の嘲りに、涙が溢れる
顔を伏せて涙をこらえる
でも牢のドアの向こうには、牢番たちの嘲りが続いている
それに、怖い
牢番たちは私を嘲笑う
それだけならまだいい
もしあのドアを開けて入ってきたら・・・
私は、何もできない
心も、体も、ずっと緊張し続けて、私は過ごした
やがて、ハミルトン家は取り潰し
領地没収
そして、一族郎党が、処刑されたことを私は聞かされた
あのおぞましい男はともかく、私に良くしてくれた人たちも大勢いた
小さな子どももいた
私を慕ってくれる子たちも
皆殺された
処刑された
私は、私に与えられた『ハミルトン公爵夫人』の呼び名、その責任を思った
あのおぞましい男の妻として死にたくはない
でも、私一人生き残るわけにはいかない
私も、死なねば・・・
死ぬことは怖くない
でも
アーネストに会えないまま死ぬのは嫌だ
アーネストに誤解されたまま死ぬのは嫌だ
アーネストに会いたい
会って誤解を解きたい
私は、お父様を殺してなんかいない
私は、アーネストを殺そうとしてなんかいない
なんで、なんで私が、アーネストを、世界で一番大切な人を殺そうとするの?
そんなことするわけない
私が一番守りたい人は、アーネストなのに
世界で一番大切な私の弟を、なんで、なんで私が
そう何度も何度も思っては、私は、牢獄で時間を過ごした
私が牢に入っている間に、弟は、即位していた
王に、なっていた
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