第4話 前日

 また明るくなると白い部屋の中はとても静かになっていた。周りのベッドに子供はもう数えるほどしかいない。

 両手で数えられる程しかいない子供達は皆、泣いてなかった。恐らく泣いても無駄だとわかったのだろう。

 男達の会話に耳を澄ます

「こいつら使って人間作るって話してたけど本気だと思うか?」

「冗談だよな。ゴミを集めたってゴミに決まってんのに」

 そう言って男達が笑っていた。

 ジャンク品を寄せ集めて使えるものに変えるように、子供達の使える部位を組み合わせて人間を作るといっているらしい。

 とても正気じゃない。人間の肉体は無理矢理接合しても拒絶反応で長くは生きられない。そんな事は当たり前だ。


 まぁ血縁の濃い人間なら可能性があるかもしれないけど、普通は試さない。


 私はそこでこれまでの事を思い出して怖くなった。最初にこの悪夢に私を連れてきた子供の姿は手脚もあって目も耳も口も鼻もあり何一つ欠けてなかった。本当に正気の沙汰じゃない。


 私は声をかけてきた子供の正体とその最後の意味を知り覚悟を決めた。

 子供の声が聞こえる

「あと少しでお別れだね」

 そして視界は暗くなった

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