第3話 気づき
そして視界が明るくなると最初の部屋に戻っていた。もちろん、手脚はないがここは夢だと気づいた私は色々と試してみる事にした。
まずは起きようと試す事から始めた。
目を覚ます時にどうするか?
まずは目を開こうとするはずだ。勿論、私もそうしたが結果は何度やっても白い天井が見えるだけだった。
次にどうしたと思いますか?
私は手脚を生やせないか試したんだ。夢であるなら自分の好きなように身体を操れるものだと考えたからだ。
実際にはまるで箪笥の角に足をぶつけたような痛みがするだけで手脚に変化は無かった。
変な事を言っていると思われた方もいるだろうが、この夢の中では痛みもあれば五感もあるし、何より気を抜くとこれが現実だと思える程に見えるもの全てが本物そのものだったんだ。
一通り試して諦めた頃に子供の声がまた聞こえてきた。
「最後まで付き合ってくれたら帰してあげる」
私はこの声の主に対しての不満を正直に伝える事にした。
「最後っていつだ?何がしたいんだ?君は誰なんだ?」
答えは返ってこず、私はまた白い部屋で動けないまま過ごすしかないのだけがわかった。
仕方がないので男達の会話を聞くことにすると
「それにしても、次から次に子供が増えるな」
「産んだは良いが、見た瞬間に化け物と言って騒ぐ親から引き取ったり、川に捨てられたのを拾ってきてるらしい」
「タダ同然で手に入れて金に出来るとかありがたい話だな」
男達は今日も楽しそうに話している。
もし身体が動くなら男達を殴れるのに…
その考えがよぎった時に子供の声がようやく返ってきた
「これは僕達の体験を見てもらう為にやってるから、君は何も出来ないし僕の最後まで付き合ってもらわないといけない。そんなに長くないから」
それだけ言い終えるとまた辺りが暗くなった。
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