第2話 次の日

 明るくなった部屋を見渡すと、さっきまでとはいくつか違う点があるのに気づいた。

 口のない子供と頭の欠けた子供のベッドが空になっていたのだ。他にもベッドにいる子供が変わっているところ等もあり、先程までとは別の日なのだと分かった。

 また男達の会話に耳を澄ますと

「なぁ、今日は実験に使うのを適当に連れてこいって言われたけど何の実験なんだ?」

「知らないし、知る必要はない。俺達は言われた通りにしておけば、上手い飯に有りつけるし女で遊んだって充分余る大金が貰えるんだからな」

 どうやら、ここにいる限り悲惨な末路しか待っていないようだ。それにしても、まるで実験動物を扱うようにこれから殺される子供の前で平然としてる男達を見ると恐怖と共に止め処無い怒りが湧いてくる。

 それから10人程子供が連れ出され、男達がいなくなった部屋では子供達の泣き声だけが響き渡り、もういっそ早く終わらせてくれという考えがよぎるのだった。


 そこでまた暗くなったかと思うとまた子供の声が聴こえた。

「まだ終わらないよ」


 それから再び明るくなると私は別の部屋にいた。

 だが、今度は顔を動かす事すらできず目の前で行われている事をじっと見るしか無かった。

 その瞬間にこれは夢だったのだと少し安堵したが、目の前で行われていた悍ましい実験の内容にその気持ちはかき消された。

 行われていたのは薬物の投薬実験だった。身体にどのような変化が起こり、どのように死ぬのかを詳細にただ書いている研究者達に罪悪感等少しもないようだ。

「いつも思うが、この煩い泣き声はどうにかならんのか?頭が痛くなる」

「仕方ないだろ。そんくらい我慢しろよ。それよりもこいつらはゴミ同然の命に価値を与えてるのに感謝しないのがムカつく」

「それこそ、高望みだ。出来損ない共にそんな事考える知能なんてあるわけ無いだろ」

 そんな事を笑いながら話している。本当に反吐が出る場所だ。苦しむ子供達の断末魔の叫びと研究者達のニタニタとした顔に気持ち悪くなって来たところで子供の声が頭の中に聴こえた。

「僕の番までまだ付き合ってもらうよ」

 そして再び視界は暗くなった

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