第1話 白昼夢

 これは、私が夏休みの寮にいたときの事だった。

 夕刻4時頃の少し日が落ちかけた頃にお手洗いに行きたくなり向かいながら、ふとベトちゃんドクちゃんのドクちゃんの結婚のニュースを思い出してしまい幸せになれなかった子供はどうなったのだろうと考えたのがいけなかった。

 その瞬間に私の前に教えてあげると言う少年が現れて気づいた時には私は全く知らない所にいた。

 まず私の目に映ったのは白い天井と薄暗く光る蛍光灯だった。近くで色々な声がするからそちらの方を向こうとすると妙な違和感に戸惑った。

 頭が異常に重いのだ。そして横を向いた先には数人の白い服を着た男達と沢山のベッドがあった。

 男達の会話が聞こえてくる。

「今日はどれを解剖するんだ?」

「あの今にも死にそうな口のないのと、そこでうるさくしてる頭の欠けたやつだ」

 まるでファーストフードでメニューを決める時のような軽いノリで笑いながら話していた。

 私は、恐る恐る彼らが言っていたベッドをみるとそこには子供がいる事に気づいた。だが、只の子供ではなかった。

 最初に話に出た子供は顔に口がなく、鼻もなく、喉には管が刺されており、目が飛び出たようになっていた。

 もう一人は目、鼻、口はあるものの頭が歪に変形しており空気の抜けたサッカーボールのように凹んでいた。

 驚いて他のベッドを注意深く見ると、ここには何か身体に欠損がある子供ばかりが集められている事に気付く、耳の無い子、目が無い子、四肢が無い子、骨が足りない子、また逆に腕が多い子等様々だが一応に世間がいう所の普通の子はいなかった。

 ふと、私自身がどうなのか気になった。一人だけ問題ない等という事があるだろうか?

 目は見えている。耳も聴こえる。

 鼻はどうだろうか?衛生環境が悪いのか放置された公衆トイレのような匂いがするから有るのだろう。

 口はどうだろうか?私は何か言おうと口を開くと言語にならない言葉が自分の言いたい事とは別に聴こえる。どうやら、存在はするが幼くてまだ上手く話せないようだ。

 一安心して起き上がれないか試した所で、この身体の異変に気付いた手脚が無いのだ。ここには鏡が無いから、それ以外の問題は分からなかったが逃げられないのだと分かり私はより一層恐怖した。


 その時、頭の中で子供の笑い声がしたと思うと一瞬辺りが真っ暗になり再度明るくなった。

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