第6話
突然の大きな声に、ビクッと体が震える。
……こんなこと前にもあった
「なんっっだよ、お前っ!!驚かすなっ!!座敷わらしリターンかと思ったわ!!」
……座敷わらしリターン?
顔を庭から声のした方に向けると、あの日の再現のように湯部さんが立っていた。
ある意味、私と同じ日に工藤組に拾われた人。
初めてあった時より髪が伸びてる。
でも色は金色のまま。
斜に上がった瞳はビックリしたせいか、今は真ん丸。
「オメェは……えぇっと…、ひよこっ!!」
「ひなです」
「おお……おぉ。すまねぇ……」
「いえいえ」
寧ろ私の事を覚えててくれたことが嬉しいぐらいだ。
「しっかし、どうした!?こんな朝早く、こんな寒いトコでっ」
元気一杯の声で聞いてくる。
凄い……朝からこの元気。
湯部さんの元気に元気を貰いつつ
「幸せを噛み締めてました」
と答えると
「そうか!!」
「わっっ」
大きな手が頭に乗り、グシャグシャッと撫でられる。
なかなか痛いです。
けれど、自分の事のように嬉しそうに笑ってくれる湯部さんにそのまま撫でられる。
「連絡がないから心配はしてなかったが……」
うん、あの日。
湯部さんは
「何かあったら連絡しろ」
とケータイ番号を教えてくれていたんだ。
周りの人達に助けられてきたから、連絡することはなかったけれど。
「良かった!!」
「ありがとうございます」
鼻がツンとする。
こんなに喜んでくれるなんて。
お礼を言うと頷いた湯部さんが庭へと続くガラスドアをガラーッと豪快に開け放った。
「っっ」
やっぱり寒いっ。
ブルッと寒さに震えた私に
「おおっ、悪ぃ悪ぃっ」
と湯部さんは庭に出てすぐガラスドアを閉めた。
庭掃除はまだ湯部さんの仕事みたい。
そうだ!!
ケータイ番号のお礼に手伝えたら……
「ひな」
「ハイネママ!!」
廊下を曲がってきたハイネママと会う。
「おはよう」
「おはよう」
「相変わらず早起きだねぇ」
「もうクセで……」
「良いクセだと思うよ」
そう言って、ふふっと笑う。
そうかな?
えへへっと笑ってると、
「そうだ!!」
とハイネママが両手を叩いた。
??
「ひな、これから雪代さん起こしにいってくれない?」
…………
…………
………
……
…
えっ!?
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