第24話 内政 財務状況の報告
★☆ 執務室での会話
オレが執務室に腰掛け、書類に目を通していると、ノックの音が響いた。
「どうぞ。」
オレの声に応じて、セバスが入室してくる。手には大量の報告書を抱え、整った動きで机の前に立つと、深々と頭を下げた。
「ご主人様、本日は領地の財務状況についてのご報告です。」
「始めてくれ。」
「ねえ、グランド領って今どれくらいお金が入ってきてるの?」
アニーが書類の山を眺めながら、不意に尋ねてきた。オレは微笑を浮かべ、セバスに目配せをした。
「セバス、今の財務状況をアニーにも分かるように説明してやってくれ。」
「承知しました、ご主人様」
セバスは丁寧に頭を下げ、報告書を手に取った。
★☆ 財務状況の説明
「まず、領地全体の税収ですが、昨年の総額8500万ゴールドです。今年度は10%増を見込んでおります。」
「へぇ、そんなにあるの?でも、それってどこから入ってくるの?」
アニーが好奇心を隠せない様子で、セバスを見つめる。
「内訳をご説明いたします。」
セバスは一枚の書類を広げ、細かく読み上げる。
「まず、農業税が1500万ゴールド。一人当たり年間平均税収は50ゴールドです。」
「50ゴールドって少なくない?」
アニーが首をかしげると、オレが補足する。
「少なくない。一人あたりだぞ?これでも税収は倍増している、我がグランド領では豊穣の魔石を安定的に確保するめどが立ったからな。これでも領民の負担を軽減するために減税しているぞ。」
豊穣の魔石とはこの世界のマジックアイテムだ。育てたい食物のみに成長を促し、それ以外の植物を序書することができる。魔法なので超高性能農薬皆異なものだ。これがあれば、最低でも2倍の収穫量になる。
セバスが続ける。
「はい、その通りです。灌漑システムを整備して、収穫量を増やした結果、税収上昇につながっています。また、屯田兵制度も効果的です。」
「灌漑システムを整備の整備って、何をしたの?」
「それはオレも知らない。こういうのは専門家に任せているからな。セバス、説明しろ」
「はっ土魔法で水が通らない場所に水路を作成しました。必要水量を確保のため新規ダムの建設を行っております。もちろん、既存のダムの修理主に堆積した土砂の撤去と建築物の修繕も実施済みです。また、ため池を増やしたり、水精霊に貢物を増やしたりと水量の確保に努めています」
さらに、セバスが続ける。
「また、商業税も1500万ゴールドを計上しております。グランド領独自の特産品が市場で高評価を受け、外部商会からの取引が増加したためです。」
「特産品って、あの魔物の素材とか薬草のこと?」
「その通りだ。」
オレは頷きながら答える。
「そして、都市住民税が1000万ゴールド。冒険者ギルドの取引からの売り上げが4500万ゴールドです。」
「ギルドだけで半分以上!?それってすごいじゃない!」
アニーが目を丸くして声を上げる。
セバスは微笑を浮かべながら続けた。
「闇の森の探索や素材取引が大きな要因です。また、冒険者育成プログラムの導入が成功し、若い冒険者が増加したのも要因の一つです。」
★☆ 新しい政策の説明
アニーがさらに興味を示した表情で質問を続ける。
「じゃあ、新しい政策とかもうまくいってるってこと?」
オレが口を開く前に、セバスが答えた。
「はい、特に次の3つが大きな成果を挙げています。」
1. 灌漑システムの整備
「領内の河川を活用した灌漑網の整備により、農業生産量が大幅に増加しました。また、農家からの満足度も高く、他領地からの移住希望者が増えています。」
2. 商業都市グランドシティの発展
「商業区域の再編成や交易路の整備によって、取引額が昨年度比で5%増加しました。特に外部商人への免税措置が功を奏しています。」
3. 冒険者ギルドの支援強化
「闇の森への中継拠点を整備することで、冒険者の活動が活発化しました。その結果、モンスター素材の供給が安定し、ギルドの収益が増加しています。」
「すごいわね……。」
アニーが感嘆の声を上げながらセバスの報告書に目を走らせる。
★☆ 必要予算の説明
「でもさ、いくら収入が増えても、無駄遣いしたら意味ないじゃない?」
アニーがオレをじっと見つめると、オレは笑って頷いた。
「その通りだ。セバス、必要な予算の内訳を説明してやってくれ。」
セバスが再び報告書を広げる。
「次年度の予算として、以下の分野への投資を計画しています。」
1. 防衛予算:4000万ゴールド
- 「新型防衛設備の導入、騎士団の給与、武器の更新に使います。」
2. 教育予算:1000万ゴールド
- 「魔法教育施設の拡充や、孤児への職業訓練費用が主な用途です。」
3. インフラ整備:1000万ゴールド
- 「交易路の拡張や道路修復、住居区の増設に使います。」
4. 領地運営のための予算:2000万ゴールド
「合計で8000万ゴールドが必要ですが、収入が8500万ゴールドですので、600万ゴールドの黒字を見込んでいます。」
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