第21話 ささやかな祝宴、そしてリサの爆弾発言


カイン、リサ、エミリオの三人がグランド子爵家の従者に選ばれたことを祝って、ささやかな宴がカインの部屋で開かれていた。テーブルには簡単なつまみと、冷えたエールが並べられ、室内には穏やかな笑い声が響いている。


「いや、これは名誉なことだ!」


カインが豪快にエールをあおる。その姿はまさに「武士は酒を愛す」とでも言いたげな堂々たるものだった。


「ほんとね、憧れのグランド子爵閣下にお仕えできるなんて、夢みたいだわ。」


リサもエールの入ったジョッキを片手に、満足げに微笑む。


「僕としては、研究の支援を受けられることや、より高い役職への足掛かりになるのが魅力ですね。」


エミリオが冷静な表情でグラスを持ち上げる。


「拙者は出世とか興味ないね。ただ、騎士として十分な禄をいただいている。それだけで満足だ。」


カインはきっぱりと言い切った。その言葉に嘘はない。


★☆カインの実力


カインは優れた武芸の持ち主であり、騎士として数々の戦果を挙げてきた。その実力はC級冒険者に匹敵する。それも純粋な戦闘能力のみでC級冒険者と同じと言われている。冒険者は探索や調査など、さまざまな技能が必要とされる職業だ。それは強さのみで一流冒険者に匹敵するという評価を得ている。その強さは他を圧倒する。

そんなカインは、出世や名誉にこだわることなく、日々の鍛錬と騎士としての誇りを糧にして生きているのだ。

カインは上級騎士としてグランド子爵家に仕えている。その禄はリックやミラのそれとは比較にならず、十分な勝ち組と言える。これはカインが武芸に優れており、数多くの魔物の襲撃から、領地を守り抜いてきた功績から得られたものだ。



★☆リサの恩義


リサはグランド子爵家を心から慕っていた。

その理由は、彼女が孤児院で育ち、子爵家の庇護を受けてきたからだ。彼女はトレジャーハンターとしての才能に恵まれ、冒険者としても名を上げていたが、恩返しのため、あえて従者として仕える道を選んだ。


グランド家周辺は魔物の脅威に常にさらされていため、死傷者数が多くなり、孤児が多くなるのだ。

そのため、歴代グラント子爵家領主は孤児院を積極的に運営することで、人口減少を食い止めている。

特に現当主ロード・グランドは強力に推し進めている。他の貴族の領地からわざわざグランド家に子供を捨てに来るほどだった。


★☆エミリオの理想


エミリオは学問と研究の支援を求めてグランド子爵家に仕えることを選んだ。彼の夢は知識を深め、それを実践に役立てること。理論家である彼は、カインやリサとは違った視点から子爵家を支える存在だった。

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★☆リサの趣味と爆弾発言


宴もたけなわとなり、リサが陽気に質問を投げかけた。

「ねえ、二人の趣味って何?」

「拙者の趣味は武芸を鍛えることだ。」

「それは仕事じゃない。」

「そうだな……酒だ!武芸を鍛えた後に飲むエールは格別だ。」

「それは合格!そういうのを聞きたかった!」

リサは陽気に笑いながら、エミリオに目を向けた。

「僕は読書かな。静かに過ごす時間が好きでね。あとはコーヒーを淹れるのが趣味だよ。」

「いいね!そういうのを聞きたかったのよ。」

そしてリサが自信満々に言った。

「それじゃ、私の趣味を教えるね――それはセックス!」

その言葉に、カインとエミリオはジョッキを落としかけた。



★☆リサの衝撃的な過去


リサはにやりと笑い、続ける。


「孤児院でもね、性に悩む弟たちがいっぱいいてね。そういう子には個別で色々と教えてあげていたんだ。言っておくけど、無理やりなんてないからね!そういうのがあったら、弟や妹でもぶっ殺しているから、でも愛し合っていたら、問題ないじゃない!私は弟たちを愛しているし、もし、弟たちも私が好きならば、異性としてね、セックスしても問題がない」


「いやいや、問題しかないだろ!」


カインが驚愕する。


「そうですね、愛とか関係なく倫理的にアウトだと思います。」


エミリオも困惑を隠せない。


リサは悪びれた様子もなく、自分の服を整えながら笑う。


「ない!ない!だって、私って超美人だし!」


リサはそういって、悩殺ボーズを取った。もともと、リサの服装は露出が多い。さらに、酔っぱらっていて、身だしなみが崩れている。彼女の胸や局部が見えそうになっている。

リサは自分で美人と言っているが、それは認めざるを得ない。


肉付きも顔もしぐさもどれをとっても、超一級品である。


娼婦になっていたら、何もしなくてもNo1になっていただろうし、生き方を選べば貴族の側室にだって、簡単になれただろう。


二人は彼女に体にくぎ付けになった。


「わたしって、超美人だから、弟たちも年頃になると、いやらしい目で見てくるんだよね。お姉ちゃんとして、ほっておけないじゃない。だから、いろいろ教えてあげるの」


上目づかいでリサは二人を見つめる。


確かにリサの美貌は目を引く。露出度の高い服に、豊満な体つき。目を逸らそうとしても目が吸い寄せられるような魅力がある。


「何を教えているでしょうか?」


と聞いても、二人は黙ったままである。顔が赤くなっており、明らかに興奮の度合いが高まっているのが見ていてわかる。


「試してしてみる?」


リサが挑発的な笑みを浮かべて二人を見つめた。

「いや、ちょっと……」

「それはさすがに……」


二人は狼狽し、言葉に詰まる。


★☆リサの真意


「いや、」「それはちょっと・・」と二人は困惑する。


「二人ならいいよ?」

リサは小悪魔的笑みで二人を見つめる。二人は狼狽している。


「どうする?」


ついに、カインとエミリオが肯定の意思表示として、首を縦に振った。


「そう、なら教えてあげる。勉強を!」

とリサが答え、大笑いを始めた。


「ちょっと、二人とも何を教えてもらうつもりだったの?きゃはは」


カインとエミリオが憮然とする。そして、ひとしきり大笑いをしたら、リサが言った。


「冗談だよ、冗談!まったく、二人とも顔真っ赤にして、可愛いね。」


三人は再びジョッキを持ち上げ、笑いながら乾杯を交わした。彼らの絆は、この宴をきっかけにさらに深まっていった。


「それじゃ、そろそろセックスする?童貞君たち」


カインとエミリオは再びポカーンとする。それを見てリサが続ける。


「仲間同士、関係を深めるためにはセックスが一番いいからね!」

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