第4話:下手くそな俳句を作った意味なし。

「見て欲しい?・・・私に?」


彼女はいぶかしげに俺を見た。


「私で分かることなら・・・」


「あ、その前に自己紹介しときます」

「おれ、御門 万平みかど まんぺいって言います・・・現在22歳です」


「はい・・・みかど様?」


「あ、御門のは御見舞いとかのおんって字で門は入り口のもんって書きます、で万平の万は数字のまんで万平の平は、ひらたいって書きいます、で御門 万平です」


「分かりました御門様・・・・で?私に見て欲しいモノとは?」


「あ、あの・・・平安時代に行くにはどうしたらいいんでしょう?」


「は?・・・それは見て欲しいモノじゃなくて相談でしょ?」


「あ〜見て欲しいモノはもういいです・・・恥ずかしいから」


「そうなんですか?・・・それで御門様は平安時代に行きたいのですか?」


「一度行ってみたいな〜って思って・・・」


お〜い、万平せっかく書いた下手くそな俳句はどうした?


「御門様?・・・よければお試しになってみます?」


「えっ・・・試す?・・・試すって?なにを?・・・?」


「平安時代に行く方法です」

「そうですね、まず用意するもの・・・手鏡にお風呂場の鏡・・・で手順・・・

深夜の2時24分にお風呂場の鏡の前に立つ」

「手鏡を持って鏡に向ける・・・手鏡に鬼が写ったら目を合わせる」

「で、次元空間に吸い込まれる・・・それで行けると思いますけど・・・」


「や・・・・やめましょう〜」


「ふふ・・・あはは、面白い・・・大丈夫ですよ、そんなことしなくても

行けますよ、平安時代に」


「は?・・・今の怖い話はなんですか?・・・え?俺をからかったんですか?」


「だって御門様があまりに真剣な顔してらっしゃるから、ちょっとからかって

差し上げました」


「え〜・・・」


「ごめんなさい」

「平安時代まで行きたければその古井戸から行けます」

「古井戸が平安時代と現代の結界になってるんです」


「え?そんな不気味な古井戸が?・・・」

「中からお菊さんが割れた皿持って出てきたりきません?・・・幽霊ですよ幽霊」


「そんなのは一般人がこの井戸に入らないよう私の主人あるじが企てた噂です」

「誰も彼もが事実を知ってしまうとやっかいですからね」


主人あるじ?・・・主人って?」


「私の主人は安倍 永明あべのえいめい様です」


「え?安倍 永明・・・・安倍 晴明とかじゃなくて?」


「違います・・・でも同じ陰陽師には違いありませんけど・・・」


「永明さんなんて陰陽師聞いたことないけど・・・歴史にも名前載ってないでしょ?」


「御門様、歴史に名前が残ってない陰陽師なんてたくさんいますよ」


「永と晴で文字が一文字違うだけでランク下がってない?」


「失礼ですよ、御門様・・・人を見下したり誹謗中傷するのはよくないです」


「いやいや、そんなつもりないです、ごめんなさい揚羽ちゃん」


「私の主人あるじは晴明様に匹敵する術者なんですよ」


「そうなんですね」

「安倍 晴明さんならそりゃ映画化もされてるし超有名な人だし」

「つうか揚羽ちゃん・・・その安倍 永明さんが主人あるじさんって・・・あのもうその永明さんと結婚しちゃってるんですか?」


「なに言ってるんですか・・・私は誰とも契りは結んでません」


「ああ、よかった一安心」


「御門様、式神ってご存知?」


「しにがみ?・・・死神って死んだ人の魂持ってっちゃう人でしょ?」

「揚羽ちゃん・・・そうは見えねいけど・・・」


「しにがみじゃありません・・・・・・式神です」

「それに死神って人じゃないじゃないですか」


つづく。






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