【4】 「週20時間・月17日ルール」と「就労継続支援A型事業所」のサポート
【牧口】 ところで、「A型事業所」在籍時の林先⽣は、どういうスタンスで働いておられたのですか? 「A型事業所」でも「週20時間・⽉17⽇ルール」は適⽤されますよね?
【林】 幸いなことに、僕は、ある程度柔軟な対応のできる「A型事業所」に当たったようでして。正直に申し上げますが、僕は「週20時間・⽉17⽇ルール」はほとんど守れていませんでした。それでも、うちの「A型事業所」は、約2年間に渡って、ずっと僕を雇い続けてくれていました。
でも、ある時、出勤⽇数が極端に少なくなってしまった時期がありまして、⼀度クビになりかけたことがありましてね。
しかし、こころあるスタッフさんのおかげで、復帰することができたんです。
【牧口】 ほう。そのあたりのお話を、もう少し詳しく聞かせていただけませんか?
【林】 はい。実は、社⻑や「サービス管理責任者」からは、
「業績が悪化してしまった今となっては、あなたの現状の、不安定な出勤のしかたでは、もう雇い続けられない」
と⾔われていたんです。
「8割以上の出勤率を上げてくれないと困る
と。「週20時間・⽉17⽇ルール」があるので、当然と⾔えば当然です。
【牧口】 そうなんですね。
【林】 はい。でも、ある意味、それは仕⽅のないことだとは思いました。で、僕は、その8割以上の出勤を満たすことは、その時点では不可能でしたので、もう退職するつもりでいたんです。現状の僕のままのそれでもいい、と⾔ってくれる職場を意地でも探して、たとえ「クローズ就労(障がい者であることを明かさずに働くこと)」になっても、転職するつもりでした。もしくは、泣く泣く「B型事業所(初歩の作業所)」に戻ることも考えました。
【牧口】 なるほど。そこにその、こころあるスタッフさんの助け⾈が、差し伸べられたんですね?
【林】 そうなんです。僕は当時、そのA型事業所で、パソコンを使った仕事をしていたのですが、その時の担当のスタッフさんなんです。そのスタッフさんひとりで、僕を⾒ていてくれる環境だったこともあるのでしょう。
スタッフさんは唯⼀、僕の障がいの特性を理解していてくださっていたんですね。
で、社⻑や責任者に掛け合ってくださって、週2日くらいからでいいからもう⼀度やってみないか、と⾔ってくださったんです。社⻑や責任者には許可を取っていると。
【牧口】 なるほど。それは本当に、こころあるスタッフさんによる、こころある対応ですねぇ。しかも、かなり異例の対応なのではありませんか?
「A型事業所」は、⼀般に融通のきかないところがあると、聞いていましたが、そんな素晴らしいところもあるんですね!
【林】 はい。ただ、⼀つアドバイスをいただいたのですが、僕の場合は、パソコンを使った仕事で、売り上げを気にして、仕事をするよりも、内職の仕事に移って、⾃分のペースで、仕事をしたほうがよいのではないかと。
僕の場合、売り上げを気にして仕事をすると、「躁状態」を引き起こしやすいんですね。
以前なら、
「内職なんてとんでもない!」
と⼀蹴(いっしゅう)したところですが、僕の障がいの性質をわかってくださったうえで、⾔ってくださっていることがわかっていましたので、今回は飲むことにしたのです。
【牧口】 なるほど。本当はバリバリ活躍することをお望みでしたが、スタッフさんのこころからの思いにお応えになって、あえて内職の仕事の道を、お選びになったわけですね。
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