陰キャな最強陰陽師くんと陽キャな黒ギャル夜叉姫ちゃん

橘まさと

第1話 Kissから始まる物語(ストーリー)

■愛知県 真城市 東雲高校

 

 「んちゅんん……」


 熱い舌が僕——陽坂明楽ひざかあきら——の口内を舐めてくる。

 何が起きているのか理解するのには時間がかかったが、目の前で僕にキスをしているのはクラスのカースト上位にいるギャルの夜船沙也加よぶねさやかだ。


「んはぁ……いただいちゃった♪」


 口を離せば僕の口と夜船さんの口の間につぅーと糸のように唾液が伸びている。

 人気のいない渡り廊下であるものの、こんなことをしているのが誰かにバレたら飛んでもないことだ。


「ど、どういうこと!? なんで、僕?」

「オタクくんと手を握ったら、ツラかったのが治ったんだよね。だから、チューしたらどうなるんだろって、試してみた♪」

 そういう彼女の瞳は金色に輝き、金髪の髪の毛からは小さな角が見えていた。


「お、鬼ぃ!?」

「いー匂いしてたから、もしかしてと思ったけどアタシとオタクくん相性いいかも?」


 ニヤニヤと余裕そうに笑う彼女の顔は子供っぽく、最近不機嫌そうな顔が多かった彼女から考えられない。


「そこ! 何をしているんですか! 夜船沙也加と陽坂明楽!」


 僕がぼうっとしていると、一番見つかりたくない風紀委員長の聖澤イリナ先輩がこちらに向かってきた。


「ヤバッ! じゃあ、オタクくん。逃げようか!」

「逃げるって、ちょっと、うぉぉぉあぁぁぁ!?」


 僕の手を掴んだ夜船さんはものすごい勢いでダッシュする。

 土煙をあげながら走るなんて、アニメや漫画でしか見たことがなかった。

 人間のパワーではない、やっぱり彼女は【鬼】なんだろうか……。


「僕に陰陽師の力はないって聞いていたけど……もしかして、これが僕の力、なのか?」

 

 空いている手で唇を触れば先ほどまで触れていた、夜船さんの唇の柔らかい感触が残っていた。

 

◇ ◇ ◇


 明楽と沙也加が逃走している中、追いかけるのを諦めたイリナはスマホを取り出して連絡を始める。


「緊急事態です。監視対象者の能力の『覚醒』が確認されました。問題が起きる前に対処を行いますが、警戒をお願いいたします……はい、承知いたしました」


 連絡を取り終わったあと、スマホを切った。

 風紀委員とは別の姿、別の役割がイリナにはある。


「万物を調伏できる力ですか……厄介事の気配しかしません」


 二人を見送っていたイリナは普段の風紀委員の活動に戻るべく、校舎の中へ戻るのだった。


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【あとがき】


お読みいただき誠にありがとうございます。


新シリーズ開幕です。

こちらは90日で第32回電撃文庫大賞を目指して執筆していく企画の作品となっています。


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↓カクコン10参加作品まとめ↓短編もあり。

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