第7話 パエリア

「こんにちは、君たち。『メモプロ』所属、天使兼執事のセラヴィス·アークバルトだ。今日は料理配信をやっていこうと思う。」


【執事長!こんにちは!】

【待ってました!】

【何作るんやろか?】


「今日はパエリアを作っていくよ。」


【パ、パエリア!?】

【パエリアって家で作るもんなの?】

【イケメンは食べるものもオシャレ】

【実はパエリアってそんなに大変じゃないらしいね】


「そうなんだよ。簡単ってわけではないんだけれど、そんなに複雑な工程がないから割りとすぐに作ることが出来るからオススメだよ。」


「料理については随時、調理過程の写真をSNSの方にあげるのでそれを確認してもらう形で頼むよ。」


「アサリとムール貝については事前に砂抜き済みで、サフランについても既に水に付けてある状態だからそれ以降の工程からやっていこうか。」


【ほへ~。知らなんだ。】

【出来上がったものがこちらになりますではない感じ?】


「まず、海老の背わたと殻を取って塩、胡椒を振っておく。パプリカは1cm幅の細切りに、玉ねぎはみじん切りにしておくよ。」


【包丁の音がめちゃくちゃ心地よすぎる】

【こんな旦那さんが欲しい】

【俺もパエリア作れるけどどう?←】

【セラヴィス様ぐらいイケメンなら是非】

【ほな、あかんか...】


「結婚はなぁ~、今のところは考えてないよ。今は自分の時間優先にしたいからね。」


「そうこうしているうちに食材の準備が終わったのでフライパンを火にかけて、オリーブオイル、ニンニクを入れてニンニンの香りがオイルに移るようにする。」


「香りが移ったら、貝類以外を火にかける。ある程度火が通ったら一旦取り出して、白米、サフラン水、コンソメ、鶏ガラだしを入れて強火にする。」


「沸騰したら弱火にし、貝類を上に乗せて蓋をして20分ほど炊く。」


【段取り良すぎない?】

【流石執事長!料理はお手の物ですね】

【どうやったら料理って上手くなりますか?】


「初心者が料理を作る上で大事なのはレシピ通り作ること。アレンジとかはその後だね。実際にレシピ通りに作ってみる。レシピ通りのものを食べた結果、もう少し濃かった方が良かったとなれば、次に作るときに少し分量を変えてみる。そうやって、自分に知識を溜めていくと、初めての料理でも味見しながら自分好みの味付けで作れるようになるよ。」


【数をこなすことが大事】

【いざやってみると楽しいから料理しない人は一度料理してみるといいかも】

【料理の上手い美人な奥さんはどこで見付けられますか?】


「料理上手な奥さん?知らないよそんなのは。自分が料理上手になれば、美人な奥さんを探すだけになるから楽になるんじゃないかな?」


【美人な奥さんを見付けるのは簡単じゃないです!】

【これだからイケメンは...】

【当方、自称美人です!料理は出来ません!】

【料理の出来ない不細工なワイはどうすればええんや?】

【来世に期待やな】


「さて、20分経ったし海老、パプリカを上に乗せて強火にして少し水分を飛ばして...完成だね。」


そう言って完成したパエリアの写真をSNSに投稿する。


【めっちゃ旨そう!】

【このレベルが自宅で作れるのか...】

【<兎耳山>:え?私の料理と全然違うんだけど...】

【灯里ちゃんは料理下手やからしゃあない】

【社長も見てます】

【この前作ったのは炭だったもんね...】


「兎耳山さん?さっきも言ったけど、数こなせば上手くなるよ。」


【<兎耳山>:そう思ってたんだけどね...全然上手くならないの...】

【料理配信で『閲覧注意』って書かれるのなんて灯里ちゃんぐらいやで】


「それじゃあまたどこかで料理コラボでもしようか。手取り足取り教えてあげるよ。」


【えっど!】

【灯里ちゃん!そこ代わって!】

【<兎耳山>:リスナー達よ。これが社長権限というやつだ!】

【パワハラですか?】

【どちらかというとセラヴィス様のセクハラじゃない?】

【ワイおじさんやが、イケメンに手取り足取り教えて貰えるシチュエーション...アリだと思います!】

【おじさんも喜んでます】


「兎耳山さんと料理コラボするかどうかは置いておいて、せっかく料理作ったから食べようか。」


そう言ってパエリアを口に運ぶ。


「ふぅ。うん。美味しいね。」


【吐息がえっちです】

【えっちっちコンロ着火しました!】

【男でもいいかも...】

【<兎耳山>:ズルい!美味しそう!】

【あ~んしてください!】


「仕方がないな~。少しだけだよ?」


「『あ~ん』」


「どう?美味しい?」


【ふぁ!?】

【えっ…しゅきぃ…】

【ワイはセラヴィス君の彼氏やったんかもしれん】

【<兎耳山>:ウチの演者に変なことお願いするのはやめてください!ただ、セラヴィス君にはボイス台本を送りますので覚悟の準備をしておいてください。】


「覚悟の準備って頭痛が痛いと同じで二重表現なんだよ。知ってた?」


【言われるとそうやな】

【<兎耳山>:違う!ボイス台本に反応して欲しいの!】

【これはパワハラです】


「大丈夫だよ。ちゃんと聞いてるから。まあ、声劇とかもやってみたかったからそこら辺は裏で詰めておこうよ。」


【<兎耳山>:やったー!】

【社長大喜びです】


「さて、料理配信はここらで終わろうと思います。今日は来てくれてありがとね。また次回の配信で、バイバイ。」


【またね~】

【今日の配信もありがとうございました!】

【ばいば~い】




○あとがき

所謂スパナがついたコメントを表したいんですがどうすればいいんですかね?(今の【<兎耳山>:】の部分】


話を進めていく中で、色んなライバーや関係者をコメント欄に出したいと思ってるんですがわかりやすい表現方法がわからず...

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