一人で泣くのです

愛彩

一人で泣くのです

『あんたが、ストレス受けてるっていうのなら、他の人は皆、須く禿げているわ。』

妹に、

『私ってストレス感じていると思う?』と

聞いて返って来た答えです。


母も同じように答えました。

どうやら私は、ストレスを受けずに生きている、と思われている様です。


そんなことは無い。

と、自分では思っていますが。

寧ろ、ネガティブ寄りである、と思います。

でもね、そう思っていて貰えていて嬉しかったのです。


昔から。そう、うんと小さい頃から私は泣き虫でした。

幼稚園の節分の行事で〇〇虫をやっつけよう!というものがありました。

私は、泣き虫、をやっつけたかったです。

それくらいに泣き虫ですね。


でもね、物心ついた頃からほんとうに悲しい涙は絶対に一人の時だけと決めています。

両親に、離婚してほしくなくって。

父母それぞれに『別れないで』と電話して。

それでも駄目で。

離婚してしまったあの時からでしょうか。


感情移入は得意です。

ドラマの最終回だけを観て泣くことが出来ます。

そういう涙は、人前で見せることが出来ます。

でもね、本当に自分のネガティブな涙は絶対に人前では流しません。

少しばかりのプライドですかね。


昔の彼氏と別れる時に

『元気を貰えたよ、ありがとう。』と

言ってもらえて嬉しかったですし、

『涙は、似合わないよ、笑っていて。』と

言ってもらえて本当の私じゃあ駄目なのかしら、とこっそり悲しくなったりもしたのです。

今思えば、そりゃあ好きな女が泣いている時よりも笑っている方が好きなのは当たり前だよなあ、と思えるのですが。


本当の、ネガティブなところを自分ではない人に見せるのって勇気がいりますね。

友達で旦那様に100%ネガティブを出せる方が居ます。

そんなの嫌だわ、なんて思いつつ、本当は羨ましくって仕方がないのです。

どうやったって苦手なのです。

自分の本当に弱いところを見せることが。


でも、つい先日。

行きつけの居酒屋の店主のお爺ちゃんの前で、私わんわんと泣きました。

お店には、お爺ちゃんと私だけでした。

生理前の少しナイーヴな時期でしたけれど。

翌日、謝りました。

『生理前だったの、ごめんね。』と

『大丈夫よ。お前はアレが月1でくるのか。

で、その後すぐいつも通り元気になっちゃうのかあ。』と

お爺ちゃんにも、私は通常営業では元気に見えていたのですね。よかったです。

『そうね。いつもはお風呂か布団の中で一人で泣くのよ。』

『俺の前だと泣いちゃうのかあ。』と

お爺ちゃんはなんだか嬉しそうでした。


暫く、そんなところを見せられるお爺ちゃんは特別な存在なんだわ、と思っていたのですが。


よくよく思い出してみたのです。


歳上の彼とズルズルしていた頃に出逢った顔がタイプの同年代の彼の前で。

ふたりっきりの時に泣きました。

歳上の彼との事情を全部話して、

『でもね、わかっているんです。

彼は私が離れて行かないって分かってて、

すべての決定権を私に委ねているんです。』と

サラッと一筋涙を流しました。


その同年代の彼と少しうまくいかなかった頃に一番仲の良い顔がタイプの男友達の彼と電話している時に泣きました。

『彼って私の事友達だと思っているのかしら。私と貴方みたいに。

私は、彼のこと好きなのに。』

駅からお家までの帰り道。

大泣きしながら、ヒールはもう脱いで。

手で持ちながら。ずうっと。


結構、泣いてますね。

基本は、一人で泣くのです。

ここぞという時には、女の涙流してみたっていいんじゃあないでしょうか。

いかがでしょうか?

それでは。

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一人で泣くのです 愛彩 @omoshiroikao

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