第3話

 「僕、女だから」

 

 さ、最高かよ…じゃなくて


 「話がつながってないよ、なんで女の子だからって私に薬飲ませるのさ」


 「いつもここまで来て振られるから。晴香も幻滅したでしょ?僕が女だって知って。」

 

 「そんな事ないよ!」

 

 「いいよ、慣れてるから、だから、身体か、墜としてくね」


 あれから何時間経ったのだろう。

 私はあまりの快感にいつのまにか気絶してしまった。

 身体には内出血の後でいっぱいになっているし、身体は勝手にビクビクして、上手く動かせない。

 確か、小さい頃親に、先に身体の関係を持つのはやめなさいと教えられた気がする。

 まだ、キスもしてない関係なのに、今日知り合ったばっかなのに。

 

 「あ、晴香。起きた?」


 「うん、起きたよ、み、み、みみ、瑞稀さん」

  名前を呼んでみると恥ずかしそうに、でも嬉しそうに、揶揄うように言った。

 

 「でも、まさか気絶しちゃうなんてびっくりしたよ〜そんなに気持ちよかった?」


 「だって、、これが初めてだったから」

 

 思っていても口に出すのは恥ずかしくて、瑞稀さんの顔を見れない。

 ああ、多分、私の顔真っ赤だ。

 そして、しばらくの沈黙を破ったのは瑞稀さんだった。


 「ねえ、晴香。僕に責任、とらせてよ」

 

 急に真面目な顔をした瑞稀さんが私を抱き寄せてくる。

 暖かくて、ほのかに甘い香りがする。

 好きだ。心も身体も匂いも全部愛せる。そう言いきって仕舞えれば、楽になるのだろうか。

 けど、言いきることができないのは、ここ最近、不安なことばかり考えていたからだろう。

 でも、信じてみたい。もし、また裏切られるとしても、この人は信じてみたい。気がする。

 

 「はい」


 返事はそれだけだった。

 それだけしかできなかった。けどそれだけで十分だった。

 私も瑞稀さんに抱きつきかえす。

 私はいつの日からか胸にしまい込んでいた不安をぶつけてしまった。

 というか全て話した。今まで起きてきた悲劇全部。

 

 「って、あ!ごめんなさい、急にこんな話して」

 

 「大丈夫だよ、っていうかそっちこそ大丈夫?なわけないよね。」


 瑞稀さんは私に、本気で心配そうな目をむけた。

 

 「あ、そうだ。そ、その、よかったら一緒に暮らしませんか?」


 「え?一緒にく、暮らす?」

 

 「どう?さっきも責任取るって言ったし、僕はお金に余裕あるし、一人暮らしだし。」

 

 言い訳をする子供のように、焦って口が早くなっている。

 

 「そんな、とても申し訳なくて、」

 

 「大丈夫、僕、晴香といると楽しいし、」


 瑞稀さんが私の手を取る。

 昔から、嘘くさいと思っていた他人の手がこんなにあったかかったなんて、こんなに尊かったなんて。


 「ていうか、もし、暮らしてくれないんだったら……」

 

 そして、瑞稀さんはリュックのなかから、すごくながい縄を出した。


 「縛ってまた身体から堕としていかないとな〜、前みたいに手加減できそうにないな」

 

 「ふ、不束者ですがよろしくお願いします」

 

 よろしい、瑞稀さんは微笑み私達は横になり、二度寝した。

 

 

 

 

 

 

 

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