エピローグ
第33話
後日、プロデューサーから、あの元スタッフが書いたという手紙を受け取った。
そこには、こんなことが書かれていた。
直井、ひどいことをして本当に悪かった。
俺たちの嫉妬と卑怯な暴力で、肉体的にも精神的にも傷つけてしまった。
藤原、升、増川。3人の怒りを見て、俺たちがおまえらにどうしても叶わなかった理由の一端を見た気がした。
負けを認められなかったことこそ、俺たちの最大の愚かさだと思う。
ただ、おまえらは昔から容赦なかったよな。
自分たちの信念をブレずに持ち続けて、今のポジションを手にした。
俺たちには、おまえらが眩しすぎた。
隣人は立派。将来有望、才能人。
盗人にも三分の理と言うけれど、これが“才悩人”の言い訳だ。
…おまえらのファンだって、おまえらがいなきゃいないで、それなりに生きてくもんだよ。
他のミュージシャンなり何なり、心の支えを見つけてさ。
まったく寄る辺のない人間なんて、いないと思うし。
…けどなぁ。おまえらを知ってしまった後に、急にいなくなられたら、キツいかもな。
現実におまえらがいると知っている以上、もう他のもんじゃダメだろうし。
おまえらの曲には、存在には、それだけのパワーがあるから。
最初から知らなければ、他のものに傾倒するだろうけど。
もう二度と会うことはないが、元気で。
新曲が出たら、聞かせてもらう。
…そんな、手紙だった。
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