第34話
ちなみにヤツら4人への罰は、
①チャマの治療費を払うこと
②“今後俺らに少しでも近づいたら警備にとっつかまっても文句言わない”という書類への署名
の2つだったらしい。
慰謝料を払わせるか?と聞かれ、俺たちは「要らない」と即答した。
そんなはした金で、あの連中との縁を持ち続けるなんて冗談じゃない。
…それでも、あいつらが俺たちの黎明期をずっと見てきたことにかわりはない。
許すことはないが、懐かしい痛みとともに、記憶は残っていくだろう。
手紙を読み終わったチャマは、無言で立ち上がった。
窓辺に立ち、ブラインドの隙間から東京の街を眺めている。
直『そんなこたぁわかってんだよ』
藤「ん?」
直『俺たちがいなけりゃいないで、世界はちゃんと動いてくんだってことくらいさ』
藤「…うん」
直『それでも俺は…俺たちは、これが自分にしか出来ないことだって信じて、やり続ける』
藤「そうだな」
直『藤くんの曲のベースは、俺しか弾けないって自惚れてるもん』
きれいな笑顔。
きれいな言葉。
そこに、バタバタと仲間の足音が聞こえてくる。
増「おーい、2人とも、そろそろゴハン行かない?」
升「今日ヒロが車じゃないからさ、チャマ運転してくれよ」
直『おぅ、いいよん!』
これからも、チャマと一緒に。
秀ちゃんとヒロと一緒に。
これからも俺が、“きれいごと”を歌い続けるために。
増「ね、藤くんも禁煙してみたら?」
直『あ~それもイイね♪』
升「じゃ、とりあえず今日のメシは禁煙席な」
藤「…マジ?;」
とりあえず、メシ行きますか。
【了】
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