第31話

それから間もなくして、マネージャー、ディレクター、プロデューサー以下主要スタッフ全員出動により、俺たちは無事保護(?)された。


事情を聞かれたのでありのまま説明したが、チャマが脅迫された理由だけは、頑として口を閉ざし続けた。

それは相手方も同じらしい。


加えて、警察沙汰には絶対にしないと俺たちが言い張るので、仕方なく事務所側がそれ相応の対応を考えてくれる、とのこと。

ヤツら4人はしばらくの間、下手したら警察より厳しい(たぶん)、ウチの事務所の警備の取り調べを受けるはずだ。






升「ま、少し言い過ぎたかもな。けど、責任はきっちり取ってもらうぞ」

藤「…あぁ。うちのメンバーにふざけた真似したらどうなるか、懲らしめてやんなきゃ」



帰りの車のなかで、秀ちゃんが吐き捨てるように呟いた言葉に、思わず反応する。

ひどい言い草だって?いやいや、そんなことないじゃん。

あいつらのしでかしたことから比べれば、むしろこのくらいで済んで感謝すべきだ。


チャマは、医務室のスタッフに診てもらいながら、生気に満ちあふれていた。

ものすごく疲れた表情ではあったけど。



直『ねぇ藤くん。昔さ、“神に誓うな己に誓え”って言ったの、覚えてる?』

藤「え?あ、あぁ…」

直『でもね、俺はそんな立派なことは言えないの。この通り、まだまだ不安定だからね』

藤「…どこがだよ。おまえ、あいつのこと怒鳴りつけた時、すげぇ格好良かったよ。なんか俺の方が守られてるみてぇだったし」



立派に“己”を確立してんじゃん。

そう言うと、チャマは楽しそうに声を立てて笑った。

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