決着

第29話

どれくらい時間がたっただろうか。


その場にいた人間全員が、いいかげん疲れて地面にへたばった頃。

朝陽で、水面が輝き始めた頃。


秀ちゃんとヒロが、相手方4人を一気にその辺の柱に縛りつけ始めた。

手伝えと言われて、わけもわからないまま俺とチャマも手伝う。


あわてて逃げようとする連中を取り押さえるのでまた一悶着あったが、何とか4人とも拘束するのに成功した。


その後で、携帯を取り出してどこかにかけ始めるヒロ。

途切れ途切れに聞こえてくる会話からして…うちの事務所の誰かにかけてるのか?

通話を終えてパタンとフリップを閉じたヒロが、こっちに向き直る。



増「高ちゃん、呼んだから」

直『えっ!?』

升「たぶん一緒にディレクターもプロデューサーも来るよ」

増「うん。今ちょっと事情話したら、電話の向こうでエライ勢いで慌ててたし(苦笑)」



そりゃ慌てるだろうよ…



直『待って、何それ。もしかして、最初っからその手はずだったの?』

増「そんなことはないよ。ただ、秀ちゃんと俺の間では、こうするのが一番いいんじゃないかって話してただけ」

藤「で、でも…この状況どうやって説明すんだよ」

升「そりゃ、そこにいらっしゃるウチの新人スタッフさんから、丁寧に説明してもらえばいいんじゃないか?」

増「主犯格だしね~?」



ヒロの顔には、今まで見たこともないような冷笑が浮かんでいる。

秀ちゃんも笑っているが、この世のものとは思えないほど恐ろしい。


普段穏やかな奴を怒らせると怖いって本当だな、おい。

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