第24話

薄々そうじゃないかとは思っていたが、やはりそうだった。

チャマ脅迫事件は、俺たちの昔の思い出までも、最悪の形で汚してくれた。



藤「おまえら、臼井で俺たちとよく対バンしてたよな」

升「これで、メンバー全員か」

増「そっか…全部で4人。俺たちと同じか」

直『やってくれたな。俺の薬の袋にまで、ご丁寧に細工してくれやがって』

藤「まぁ、肺がん疑いまでミスリードしてくれたのは、おまえらにしちゃ頭使った方だよな」



俺がそう言った瞬間、ヒロが「いや藤くん、それは違う」と小声で突っ込んでくる。

あれ?何か間違ってたっけ?



「…薬の袋は、直井のカバンに入ってたやつをたまたま見て、利用しただけだ。肺がんだか何だか知らねーけど、勝手に勘違いしたのはおまえらだろ」



…あ、そうか。それはその通りだ。

拍子抜けして、少し毒気を抜かれてしまった俺を不甲斐なく思ったのか、今度は秀ちゃんが口を開く。



升「それにしても、手が込んでたな。わざわざウチのスタッフにまでなって、何ヶ月もかけて念入りに準備したってわけか?」



皮肉とも攻撃ともとれる口調にも怯まず、昔ベースを弾いていた彼は応酬してくる。



「おまえら、スタッフのこと疑いもしねぇんだよな。でも、さすがに今日は脅迫状のせいで気づいてたのか?まぁどっちでもいいけど。あんまり人を信用しすぎるのは問題ですよ、アーティスト様?」

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