第23話

「お疲れ様です、直井さん」



チャマが息をのむ。

俺たち3人も、息を殺して身構える。

数時間前に聞いた“お疲れ様でしたー”とは正反対の、冷え切った声。



「俺のこと、疑ってましたか?それとも、信用してくれてました?」



ナメきった態度と物言いに、腹が立つと言うより、むしろ違和感を覚えた。

何だ?こいつ、1人きりか?

だったらせめて武器になるようなもんとか、何か持ってる方が自然じゃないか…?


チャマもそれを疑問に思ったらしく、『おまえ1人か』と聞いている。

対する返答も、夜風に乗って聞こえてきた。



「いますよ、仲間…と言っていいかどうか」



その瞬間、ざっと足音が響いた。

何人いるか咄嗟には判断が付かなかったが、とにかく俺たちも飛び出す。



「あ、やっぱりいましたね、藤原さんたちも。そりゃそうか」



そりゃあんな脅迫状まで書いたらねぇ、とか独り言みたいにブツブツ呟く姿。

そんなバカを取り囲むように、今出てきた連中は…



増「おまえら、あのバンドの!」

升「あ、おまえボーカルか!?そっちは…ドラムか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る