第18話

藤「…それが、どしたの」



気持ちの悪い違和感が、のど元までせり上がってくる。

何だかわかんねぇ、でも俺、この感じ…何だ?

わずかに入り混じるのは…懐かしさ?



増「ほら、俺らがまだ臼井でライブとかやってた頃、よく対バンしてたの!いたじゃん!」

升「…対バン?」

直『…あ』





あ。あ。あ。


思い出した。

急に、脳みその使ってなかった部分が開いたみたいな感じ。

思い出す。思い出す。洪水みたいにあふれてくる。


…そうだ。

あいつは、よく俺らと一緒にライブに出ていたバンドのギター…じゃない、ベースだ。

ギターよりもボーカルよりも目立つパフォーマンスでステージに立ってたから、当時からなんか錯覚しがちだった。


なんで今まで思い出さなかったのかって?

だってあいつ、昔はギンギンのビジュアル系だったんだぜ!?

髪だって異様に長くてストレートで、しかも右半分は緑色、左半分は水色に染めてるっていう、ロック過ぎる印象だったんだぜ!?


今の若干茶髪がかった短髪からは想像もつかない。

つか、むしろヒロよ、メイクしてないあいつの顔をどうやって見抜けた…???

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