破綻

第16話

写真撮影が始まった。

外に出て、個別の写真を撮る。

4人揃いのショットは、スタジオに戻ってからってことだからね。


カメラマンのノリのいい発言に笑ったりして、けっこういい感じに進行、進行。

後ろの方では、うちの事務所の若いスタッフがいろいろ雑用をこなしてくれてるのが、遠目にもわかる。

俺、チャマと終わって、次はヒロの番だ。



カ「はい、じゃあ次は増川くんお願いしまーす」

増「よろしくお願いします」

カ「おお、いーねぇその上着!私服?やっぱスタイル良いと何でもキマルね☆なぁ?」

ス「ほんとそうですよねー」

増「…(苦笑)」

カ「よーし、じゃあその木のそば行ってみようか。もうちょっと右、花の咲いてるあたり。そうそう」



見るともなしに眺めていた時、急にヒロの表情に異変が起きた。

いや、カメラマンやスタッフにはわかってないだろう、ほんのわずかな違和感。

たぶんこの場でわかるのは、3人だけだ。


すっと少し細められた瞳。

そしてわずかに首をかしげて、口を薄く開けて…

その時、チャマがぼそりと呟いた。



直『…ねぇ、ヒロどうかしたのかな』

藤「やっぱオマエもわかる?」

直『そらそうでしょ。秀ちゃんどこ?秀ちゃんにも絶対わかるし』

升「ここだよ」

藤「うぉ…びっくりした、背後に立つなよ」

升「ヒロもねぇ、分かり易すぎなんだよな。あとで何があったか聞かなきゃ」

直『まぁ俺らには分かり易いけど…スタッフにはバレてねーじゃん』

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