第15話

直『あれ?この袋、何か違うな』



チョコを探して、カバンをごそごそやっていたチャマが、例の薬の袋を見てそんなことを言った。



藤「ケガの薬じゃねぇの?」

直『うん、いつもの痛み止めが入ってないし…ていうか、何コレ?』



ひらりと舞い落ちたのは、新聞の文字の切り抜きを、白い紙に一文字ずつ貼っつけたと思しき手紙。

いわゆる、脅迫文スタイル。



升「えーと。“例の件をばらされたくなければ明日の零時ちょうどに●●埠頭の××倉庫に来い”だとさ」

増「何これ…こんなの、本当にあるんだ…」



ヒロの言うことももっともで、それはまるで三流ミステリー小説さながらの脅迫状だった。

深夜零時に、埠頭の倉庫…

あまりにベタなシチュエーション。


間違いない。

どこのクズか知らないが、今度こそチャマを襲う気だ。






俺と秀ちゃんとヒロの、そして誰よりもチャマ自身の気持ちを軸に、この件は極秘で扱うことになった。

俺らの関係を知っているのはスタッフでもごくわずかだし、下手に広めない方が良いから。


危険を承知で、呼び出しの現場に4人だけで行くことにした。

…マネージャーやプロデューサーにばれたら、無謀すぎるって、それこそぶん殴られかねないけどな。



直『それじゃあ、撮影行く?』

升「あー。そろそろ時間か」

藤「チャマおまえ、大丈夫か?」

直『…さっきは、藤くんの方がよっぽど大丈夫じゃなかったみたいだけど?』

増「取材の時ね。確かに(笑)」



思わずみんなで顔を見合わせて笑ってしまう。

…大丈夫。大丈夫だ。

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