第14話

直『…色が』

藤「ん?ああ、こんなん洗えばいいよ。水性だろ」

直『…ごめん。ごめんね』

藤「何がごめん?謝るなら、1人で抱え込んでたことを謝ってくれよ。俺はチャマの何だ?何の役にも立たないの?」



涙顔が、ふわりと笑みを帯びた。






そのまましばらく2人で静かに過ごした後、秀ちゃんとヒロを楽屋に呼び戻した。

気をつかってか怯えてか知らないが(たぶん両方)、さっき絶妙のタイミングで出て行った2人には、心の中で大感謝。


チャマの目には既に光が戻っている。

これほど酷いことをされても、こいつの心は折れていない。

すごいな、おまえ。俺はせめて、その笑顔を守りたいよ。



升「しかしなぁ…何なんだろう、呼び出してボコるだけなんて」

藤「そう。まだ金目当てとかいう方がわかるんだよな」

増「男に襲われるなんて、最悪だよね…チャマがそんなに他人様から恨まれるような人生を歩んできたとも思えないけど」

升「そりゃそうだ。でも現実のこの状況は、どう考えても恨み辛みの類だろ」

増「うん…」



考えても話し合っても、答えは出ない。

チャマ自身も、そんなに恨まれるおぼえなんか、本当に無いって言うし。


わけわかんないよと言いつつ、ヒロがチョコを口に放り込む。

こないだチャマが買ってきたアレの残りのようだ。



直『いいな。俺も食お』

増「え、ゴメン今ので最後…」

直『あの時買ったやつ、もう一個あるもん』



おまえ、脅迫されてるわりにそんな余裕あったのか…?

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