第11話

増「じゃ、じゃぁあの薬の袋は?聖エドワードなんとか病院の…」

直『…そ、れは…』

藤「言えないこと?やっぱおまえ、何か病気なの?」

直『…ケガ。喧嘩…とはちょっと違うんだけど…』

升「え?喧嘩?それで病院行くほど?」



こくんと頷く横顔が、しかめっ面になっている。

小学生じゃあるまいし、喧嘩でケガ?

それはもう殴り合い…下手したら暴行とか傷害のレベルでは?

もう隠しきれないね、と言って、チャマは俺たちの方に向き直った。



直『実は俺、脅されてるんだ、1ヶ月くらい前から。時々、携帯に脅迫電話みたいのがかかってきて。呼び出されては、殴られたりしてる』

藤「脅…!?な、誰に!」

直『わかんない』

升「…何て言って、脅されてんだ。弱味握られてるのか?何かヤバイことか?」

直『……』

増「あんまり想像つかないけど、お金の問題とか…?あ、もしかして家族のこととか、プライベートな…」



プライベート。

その言葉に、俺と秀ちゃんがハッと顔を上げる。

言ったヒロ自身も息をのんだ。



藤「…まさか」

直『そのまさか。…俺と藤くんの関係をマスコミにばらされたくなかったら、言うとおりにしろって』



ふざけんな!!

俺の目が一瞬で怒りに染まるのを見て、3人が慌てて制止する。



升「フジ、待て!相手が誰かもわかってねぇ、脅迫は電話だけって状態じゃ、どうにも動けないだろ!」

増「そうだよ!まず落ち着いて…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る