発端

第2話

最初におかしいなと思ったのは、とあるラジオ番組のゲストに呼ばれた時だった。


司会者は何度か会ったことのある人で、けっこうノリよく話が弾んだ。

長時間の収録だったので、途中休憩もあった。

お弁当と飲み物を運んできてくれたのは、最近うちの事務所に入った新人くん。年齢は知らないけど、若く見える。



藤「ヒロ、水とって水」

増「んー。俺何か甘いもんほしいなぁ。ちょっとコンビニ行く時間あるよね?」

直『あ、じゃあ俺行ってくるよ。自分の買い物のついでだし』

増「え、いいの?悪い…」

直『いーっていーって。5千円、お釣りなしでどう?』

升「高いっすねぇ、チャマさん」

藤「悪いなぁ、ヒロのおごりでお菓子パーティなんて」

増「ごめんチャマ、50円しかないわ(笑)チョコ系でお願いします☆」

直『おい!せめて500円寄こせよぉ(笑)』



いつもの4人の、くだらないやりとり。

楽屋で、それぞれ背中を向けて好き勝手に過ごしていても、みんな笑っている空間。







チャマが出て行ってから戻ってくるまでの間、残った俺たちはドラクエをしていた。

けっこう強いモンスターたちを相手にしつつ、俺は少し気になった。



藤「なぁ…チャマ遅くね?」

増「あ゛あ゛~~死ぬ!ヤバイ!」

升「ん?あ、全滅か。…コンビニ、混んでんじゃないの」

藤「…かなぁ」

直『(がちゃっ)たぁっだいまー♪ヒロ、チョコだよー♪』



妙にハイテンションなのも、ちょっと引っかかった。

でも、それ以外はまったく普通だったので、すぐに忘れてしまった。

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