第28話
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……………………。
藤「どうして俺を見るんだよ!?」
直『ごめん、つい』
増「だってチャマのことなんだし…」
その言葉に秀ちゃんもうなずいてる。
藤「じゃあもし仮にヒロが同じ状況だったとしたら、おまえはアレを食うのか!?」
升「食うね。もしヒロが、だったらね」
増「秀ちゃん…!!」
升「ヒロ!!」
ひしっ。
抱き合う姿が壮大な皮肉にしか見えない。
直『三文芝居はその辺にしといてもらえる、お2人さん』
増「あ、ごめん(笑)」
直『まぁ俺はいいんだけどね…。適当なとこで止めとかないと、藤くんがキレちゃうから』
おい、俺は火山か何かか?
3人の視線が痛い。
さぁどうする、という煮詰まった空気。
そのまましばらく考え込んだ。
―――どうする。食べるか、食べないか。
いや、結局は誰かしらが食べなきゃいけないんだ。
他でもないチャマのために。
そうなると、ヒロや秀ちゃんよりは俺が…、というのが筋に合ってる。パートナー心理として。
無関係の他の人間に恩を着せられてまで食べてもらう筋合いは、もっとない。
というか秀ちゃんが言ったとおり!
こういう時こそ動かなくて、何のための彼氏だ!?
…椅子から立ち上がった。
藤「よし、食おう」
升「おぉ!」
増「じゃあまた協力するよ!何でも!」
直『俺の風邪がうつったことにすりゃいーよね♪』
仕事に支障が出るが、背に腹は代えられない。
直『あぁ~、しまった!俺なんであの着ぐるみダメにしちゃったんだろ!』
升「また買ってくりゃいいじゃん」
増「ねぇねぇ、変身する瞬間が見たいんだけど!目の前で食べて見せてよ!」
藤「…おまえら、楽しんでるだろ…」
こうして俺は、あのアメを口にすることになった。
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