第27話

藤「おいチャマいるか!?すいません、今日の仕事これで終わりにします!!」



スタジオに駆け込むなりそう叫んだ俺を、その場にいた全員が唖然とした表情で見つめた。

チャマもヒロもスタッフも、「この人何言ってんの?」という表情を隠そうともしない。



藤「チャマ、まだ無事か?何ともないか?」

直『な…何が?全然どうもしてないけど?』



ひとまずホッとする俺と秀ちゃん。

しかしチャマは訳が分からないといった表情、ヒロはあからさまに不審そうな目つきだ。



藤「…とにかく、おまえちょっと来い。あっちのブース空いてますよね?借りますよ」

升「ヒロ、おまえも」



有無を言わさぬ雰囲気と勢いで、4人の時間を作った。

無理矢理にもほどがあると言われそうだけど、何の策も無いままチャマに災いが…という事態を招くよりはマシだろう。







4人で顔を付き合わせて、さっき拾った紙を見る。



直『…これが、あのアメのことだってわけ?』

藤「それが一番しっくり来ると思う」


増「占い師がいたってのはマジなの?まだ明るいのに?」

升「いた。むしろ明るいからこそ余計目立ってたよ」

増「じゃあ…」



残念ながらというか、恐ろしいことにというか、これの信憑性が上がってしまうわけだ。



升「まだあのアメ残ってんだろ?」

直『ある…よねぇ…』



ある。俺んちのキッチンの引き出しに。



増「災い…」



ケガか病気か、もっと悪いことかもしれないけど。

このままじゃチャマが危ない。

事態を打破するためには…



直『要するにだ。俺以外の誰かが、残りの1本を食べれば問題ないわけでしょ?』



そういうことですよね。



升「とんでもねぇ話だな…」


増「でも逆に言えば、7日間で元に戻ることは保証されてるわけだし。割り切って、期間限定子供ライフを楽しむって考えることも出来るんじゃない?」


直『それは…そうかもしれないけど』



あそこで秀ちゃんが占い師を見かけなかったら、この紙を拾わなかったら。

…俺たちはどうなっていたんだろう?


偶然かどうかも分からないけれど、知ったからにはとにかく行動するしかない。

―――そして。



藤「で、一番の問題は」

直『…誰が食べるの?』



そこだ。

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