ホリディ
第26話
コンビニへ行くと言って出て行った秀ちゃんが、すごい勢いで血相を変えて戻ってきた。
升「ふっ…藤原!大変だ、おまえちょっと来い!」
藤「えっ、何?何だよオイ」
スタジオの片隅に強引に連れていかれる。
升「いたぞ占い師!あっちのコンビニの近くに!」
藤「…ええっ、マジで!?つーかおまえ分かるの?見たことあるのかよ、あいつを!」
升「いや正確には微妙かもしれないけど、変な格好した、どう見てもコイツ怪しいだろって感じの…!!」
藤「わ、わかった。俺も行くから、ちょっと落ち着け」
彼がここまで慌てるなんてただ事じゃない。
秀ちゃんはあの占い師そのものを見たことはないはずだけど、この様子じゃきっと絶対そうなんだろう。
人間の直感てのは意外と当たるもんだから。
すべての元凶となった、あの男。
チャマとヒロに気づかれないように、俺たちはスタジオを抜け出した。
2人して走っていったのに、占い師はいなかった。
升「あれ?どうしてだよ、ついさっきまでここに机置いて、変な店広げてたのに…」
藤「…また消えやがったのかアイツ」
何か手がかりはないかと思って辺りを見回すと、道ばたに妙な紙が落ちているのが見えた。
習字で使う半紙みたいなペラ紙に、読めるか読めないかギリギリのへったくそな字。
――効力は七日間。
――灯りが付いている間のみ。
――二本で一組。
――口にする際は必ず両方を同時期に、かつ別の人間によるべし。
――片方のみ消費して残りを捨て置けば、口にした者に必ず災いが降りかかる。
升「どうした?何が書いてあるんだ?」
藤「…チャマ…」
升「おい、藤原?」
藤「やべーってこれ!戻るぞ、早く!」
秀ちゃんの腕をつかんで、今来た道を走り出した。
これはあのアメについて書かれたものに違いない。
バカな内容だと笑い飛ばすのは簡単だが、現にチャマは幼児化した挙げ句、1週間で元に戻った。
…これが、もし全部本当だとしたら。
――片方のみ消費して残りを捨て置けば、口にした者に必ず災いが降りかかる。
藤「チャマ…!!」
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