第24話
藤「で?プレゼントって?」
まさか、この取り返しがつかない状態になった着ぐるみのことじゃないだろうな。
言外にそう圧力を込めて聞いてみたら、チャマはこっちが拍子抜けするほど明るい笑顔で言い切った。
直『そんなの俺に決まってんじゃん!元に戻れた直井くん!良かったねー、藤くん!』
…
…………
…………………、
くっ。
藤「あはははっ、ははは!!」
なんかもう全てがアホらしくなってきた。
俺はいったい何を悩んでたんだろう?
藤「ははっはははは、あー、ふっ…くくく、」
気がゆるんだせいか、たがが外れたように笑い続ける俺。
自分でも止められなくなっている様を見て、ヒロは「なんかよくわかんないけど、嬉しいみたいだね」と呟いた。
その夜、ヒロと秀ちゃんが帰った後、俺たちはようやく落ち着いて話をすることが出来た。
案外あっさり解決した…と思っていいのだろうか。
窓には、ソファに並んだ2人の姿が映っている。
藤「小さくなっちまってすぐ服買いに行こうって言い出したの、おまえの方だったよな」
直『…へ?あぁ、うん…』
ぎこちない感じで、その手に触れた。
大人に戻ったはずなのになお高く感じられる体温。
藤「あの時点では、“早めに元に戻れる”って可能性もあったはずなのに、どうして?長期戦になるって最初からわかってたわけでもないだろ?」
直『そんなはずないじゃん。驚いて困って焦りまくって、とりあえず必要なものは何だー!って考えた結果だよ』
そう言うと、チャマは俺のひざに頭を乗せてきた。
ころっと転がる重みと柔らかい髪。
子供がやるとただの甘えん坊だけど、大人がやると…
直『やっぱり、ゴハンのあとはねむくなるね…はやねはやおきのクセがついちゃってるからかな…』
藤「こぉ~ら、何だよ、おまえは。生活習慣だけ子供のままってのは、勘弁してくれよ?」
苦笑がこぼれる。
…やっぱり、ただの甘えたがりか。
いくつになってもチャマはチャマだなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます