第23話

藤「チャマ…、元に戻れたのか?どうして?なんで?」


直『さぁね。あくまで想像だけど、もしかしたら単なる時限式のアメだったのかもしれないよ。だって元に戻ったの、今日俺が昼寝してる最中だったもん』



それはたぶん、あの日彼がアメをくわえたのと同じ頃。



升「…てことは…効き目はちょうど7日間か?」

増「それっぽいね…だって他に特に何もしてないもんね」

藤「そうだ、あのランプは!?」



あわてて立ち上がり、あの路地裏で拾ってきたシェードランプを探しに行く。

かき消えているかもしれないという懸念もあったが、べつに普通に元の位置に置いてあった。



升「どう?何か変化ある?」

藤「…特には」



ただし、いつ切れたのか灯りは付いていないけれど。



増「ねぇ、これってどうやったら付くの?電池とか入れる場所もなくない?」

升「うーん。。」



考えてもラチがあかないので、とりあえずご馳走の前に戻る。

ヒロと秀ちゃんも「腹減った」と言ってるし、ひとまず夕食だ。


チャマが腕によりをかけたという料理は、彼本人との相乗効果で死ぬほどうまく感じた。

実際には、たかだか1週間ぶりだっていうのに。







不思議なもので、こうして4人で食事をしていると、もうあの幼児化が夢の中での出来事みたいに思えてくる。


だいたい全員が腹一杯になり、「うまかった~」「コーヒーでも淹れようか」等と話している最中、ふとソファに転がっているものに目が行った。



藤「…?チャマ、あの布なに?」

直『あぁ、あれ子ヤギの服。元の姿に戻った瞬間に着てたやつ』

藤「…大丈夫だったの?」

直『いや、裂けた』



さっ…;



升「裂けた!?おまえそれ大丈夫だったのか」

増「そうだよ。下手したら窒息だよ!?」


直『下手しなくても窒息だよ、本気で死ぬかと思ったもん。でもまぁ、手とか胴体もアレだったけど、一番ダメになったのは足の部分ね』



チャマはそう言って、無残な姿になった元・子ヤギ服を広げて見せた。



直『これ、藤くんにメールで写真送ったじゃん!見てくれてないの?』

藤「あー…そういうことか」



あの添付画像の正体がようやくわかったよ。

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