present

第20話

それからまた始まる、子育て(?)の日々。



直『ふっじくーん!おきろ!』

藤「ぅあ…?」

直『きょうは8じにおこせっていってたでしょ!はやくおきて、したくしなさい!』

藤「…う~~ん…」

直『ねるなー!!』



…訂正。

子供が保護者の面倒を見ている図式かもしれない。







チャマが幼児化してから7日目の朝が来た。


こいつは早くもこの姿での生活のコツを掴みつつあるらしく、すでに掃除やら洗濯機を回す作業はOK、おまけにレンジやトースターを使って簡単な料理までこなしてやがる。


いつのまにか家中に踏み台が置かれ(協力者:ヒロ)、俺の家は子供でも生活できる仕様になっていて…



直『ほら、コーヒーいれたよ。めぇさめた?』

藤「…はい」

直『ごごはしゅざいなんでしょ?ちゃんとしたふく、きていかないとダメだからね!』

藤「へーい…」



…再度訂正。

これじゃ出来の悪いダンナを持った嫁さんだ。



藤「ところでさぁ」

直『なに?』

藤「おまえそれ気に入ってんの?」

直『…うん、まぁ』



垂れたしっぽと耳が朝陽に揺れる。

二足歩行なのが惜しいっちゃ惜しいが、どこからどう見ても立派な子ヤギだ。



藤「はっきり聞いときたいんだけど」

直『え?』

藤「オオカミに食われる覚悟はある?」

直『どっ…どーゆぅいみだよ!?』



そう言いつつ真っ赤になったところを見ると、どーゆー意味かはしっかり把握してくれたようですね。



直『うがーーっっ!!やめろよぉ、こわいよ~。おれそんなのむりだよぉ~~』



ぺたりと床に座り込み、早くもちょっと泣きながら、困ったり怒ったり検討したりと百面相状態になる子ヤギ…じゃなかった、my loverチャマくん。

(しかし検討してくれたってことは全く脈ナシでもないんだろうか)

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