カルテット

第9話

翌朝、人の気配を感じて目が覚めた。

枕元の携帯を見ると、まだ7時前。

おいおい勘弁してくれよ…俺寝たの4時だぜ…



直『あ、ごめんふじくん。おこしちゃった?』

藤「うぉっ!?」



隣でごそごそ動く小さな身体に、素でビックリした。

あぁそうか。昨夜、他に寝かせる場所もなくて、俺と一緒のベッドに寝かせたんだっけ。



直『ねぇねぇ、おふろはいりたいよぅ』

藤「…あー。どうぞ、好きにやって…」



と言ったきり再び泥のような眠りに引きずり込まれていく俺。

やっぱり子供の朝は早いなぁ。。

しかしそんな心地よさも、数分後には打ち破られることとなった。



―――ガッターーン!!


直『わぁあっ!!』

藤「……!?どした、チャマ!」



あわてて風呂場へ駆け付けると、水が出続けるシャワーが視界に飛び込んできた。

傍には、転がる桶と椅子。そしてコケた様子のチャマ。



藤「だ、大丈夫かおまえ…」

直『ふじく…』



半べそ顔でこっちを見上げる裸の男の子。

おにーさんちょっとイケナイ何かに目覚めてしまいそうですが、ってアホなこと考えてる場合じゃない。



藤「そうか、蛇口うまくひねれなかったか?」

直『ぅん…ていうか、せがとどかなくて。イスとオケかさねて、そのうえにのって、てぇのばしてみたんだけど…』



こんなことになったわけか。

こりゃ危なくて1人じゃ何もさせられないな…

そう考えて、俺もおもむろに服を脱ぐ。



直『だっ!?』

藤「おまえ今後、単独行動禁止な。風呂は俺が一緒に入ってやるから。…何びびってんだよ」

直『あー。ありがとう…』



あからさまにホッとした表情になる4歳児に内心複雑な思いを抱きつつ、ボディソープを泡立て始める。



藤「そういえば昨日はどうしてたの?何か不便なこととか、困ったこととかなかった?」

直『え?きのう?ごはんもトイレもだいじょうぶだったし…ヒロもいろいろてつだってくれたし。それにおれ、かなりはやくねちゃったからね』

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