第7話

藤「今日の夜、行ってみようと思うんだ」



夜でもゴミをあさり続ける猫やカラス、そして夜行性の人間の街。路地裏の占い師のところへ。

…魔の都心へ。

(ネタ的になら過去にもこういう言い方をしたことはあるけど、今回の件を考えれば本気で魔都だ)



升「…俺にも来いって目をするなよ」

藤「そこを何とか頼むって。あの場ですでに消えてたやつが、今でも同じ場所で商売してるとも思えないけど!」

升「怖えぇー、何だよそれ」

藤「頼むよ、何かあった時に俺だけじゃ何もできねぇし」

升「それはそうだけどっ…」



行くか行かないか。

たったそれだけの話なのに見事に収集がつかなくなる、ドラマーとの対話2011。



藤「…いいよ、それならヒロ連れてくから」

升「それはもっと駄目だ!」

藤「なんだよこの過保護ヤロー!!」

升「そりゃこっちの台詞だろうが!!」



あぶなく今後の関係にヒビが入りかけた頃…



増「ただいまー」



玄関からのんびりした救世主の声が聞こえてきた。



升「…あぁ、おかえり」

藤「あれ?チャマ?」



しーっと唇に人差し指を当てるヒロ。

チャマはその肩にこてんと頭を乗せて、ぐっすり眠ってる。



増「帰り道で、気がついたら寝ちゃってたの。ちょっと渋滞に巻き込まれたからね」

升「大丈夫か?ベッドに寝かせてやった方が…」



かわいーでしょ、と目尻を下げるヒロの手から、食料の詰まった袋を受け取る秀ちゃん。

ついさっきまで俺と不毛な言い合いをしていたはずの顔が、別人のように緩んでる。



増「ん?」

升「…よだれ垂れそうだぞ、コイツ」

増「えー?拭いたげてよ」



声を忍ばせて笑いながら、白い頬をぷにぷにする2人。


―――まぶしかった。


あり得ないことだけど、こいつらがもし子供を育てたら、こんな感じで大事にするんじゃないかと思った。

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