第5話

半信半疑な目つきで、「なんかチャマからワケの分かんないメールが来たんだけど」と言いながら入ってくる、ヒロと秀ちゃん。

と、いきなりチャマが飛び出した。



直『ばぁ~!!』

増「うわっ…」



ヒロの口からもれる驚嘆。

秀ちゃんもその後ろで凍りついている。

それきり、しばらくの間室内を沈黙が支配した。



直『…そんなおどろくなよぉ』

升「…いや…これは…、驚くよ」

増「え、なに?おまえホントにチャマ?」


直『…そうだけど…でもでも、おれはおれだよ!だいじょーぶ、アタマのなかまでこどもになっちゃいないから!』



舌足らずだけど一生懸命に説明する、大人と変わらない意識の幼児(推定4歳)。

…ごめん、これはカワイイ。直視できないほどカワイイ。



直『…ふじくん?どしたの?』



うおおおぉぉぉ、そんな目で見るな!ちょっと気ぃ抜いたら卒倒しそうになるだろうが!!

(隠れ変態というかムッツリというか独占欲の塊というか…)


あー抱きしめたい超抱きしめたい。

そう思った瞬間、ヒロが大胆な行動に出た。



増「ほんっと可愛いな~。ね、外出てみない?買い物とか散歩とか…あ、ゴハンでもいいし!」



そう言って、ひょいっとチャマを抱き上げる。

そのうえ「やわらかいね~」とか言いながら、白いほっぺをつんつん…、くすぐったそうに微笑むチャマ。



藤「…てっ…んめぇ、こらヒロこの野郎!!」

升「あっ馬鹿、やめろ!」



―――ショタコンやめますか、それとも人間やめますか。



再びわけのわからん標語が脳裏をよぎった時には、体重20㎏にも満たないその身体を奪い取っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る