第4話

家に帰り着いた頃には、日が暮れかけていた。

ぐったりとソファに転がる俺とは対照的に、携帯をいじったりして存外元気なチャマ。

もっとも、指は短いわ力はないわで、携帯のキーを押すのも大変そうだけど。



藤「…何してんの」

直『ヒロとひでちゃんにメール』

藤「ふーん……って、ええ!?」



呼んだらしい。うちに、あの2人を。

いや別に来るのは構わない。そんなの時々あることだし。

そうじゃなくて、チャマ、今のおまえをあの2人に見せるってのは…



直『でももうよんじゃったもん』

藤「何て送ったの?」

直『“おれようちえんじみたいなカラダにされちゃった!ふじくんちにカンキンされてるの、たすけて!”って』

藤「…こんのクソガキ…!!」

直『きゃー!やははっ、よーじぎゃくたいー!』



そうやってじゃれてみて、あらためて驚いた。

何て言うんだろうな…こいつ、人間っていうより、ぬいぐるみとか人形の方が近いかもしれない。


すごいんだよ、肌とかツヤツヤってレベルじゃないぜ?

陶器みたいだもんマジで。

髪だって、大人とは全然違うし…


はーっと大きく息をついていると、幼い声がキッチンから聞こえてきた。



直『ふじくーん、れいぞうこあけらんないよ』

藤「…あぁ。何飲む?」

直『うぅんとね、おちゃある?』

藤「ウーロン茶なら」



そう言ってコップに注ぎ、「こぼすなよ」と渡す。

しかし口を付けてすぐ、チャマは『にがい…』と泣きそうな顔になった。



藤「あーそうか、味覚が子供なのか…」

直『…みずでいいや』

藤「はいよ」



それにしても目ぇでかいねー、おまえ。

髪がちょっと長いから、女の子と間違えられてもおかしくないよ?



―――そこに、訪問者を告げるチャイムが響いた。

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