第3話

それから俺たちが真っ先にしたことは、子供用の服を買いに行くことだった。


初入店ですよ、アカ●ャンホンポ。

まさかこんな状況で初体験しちゃうとは思わなかったけどな。



藤「…サイズっていくつ?」

直『しらないよぉ、そんなこと』

藤「あ、なんか身長との照合表があるじゃん」



適当にその辺の服を取って試着室に行き、チャマに着せてみた。

そのサイズから逆算するに、だいたい4歳から5歳くらいの身体…らしい。今のこの子は。


まぁね、1人じゃ着替えが難しい年頃ですので、当然お兄さんが手伝ってあげることになるわけですが…



直『ねぇ、ふぁすなーあげて?』

藤「…うん」

直『くつした~』



…なんてリアルな着せ替え人形。


ちなみにこの店までチャマが身につけて来たのは、ひざ丈のジャージと小さめのTシャツ。

俺のクローゼットを引っかき回して探し当てた物だが、これでも見事なまでにぶかぶかだ。


そんな子供を抱きかかえて、慣れない子供服の店をウロウロするアラサー男…。



藤「なんか俺、幼児誘拐犯みたいじゃね?」

直『まわりからもそうおもわれたくなかったら、さっさとかってかえろうよ』

藤「…はい」



“藤原基央、自宅でこっそり幼児と生活!隠し子か?”

そんな週刊誌の見出しがリアルに想像できる。

…ミュージシャン生命の危機じゃねーか。


―――ショタコンやめますか、それともバンドやめますか。


脳みそが無駄に活性化してるせいか、ろくでもない標語まで浮かんできて、目の前がクラクラした。



直『ていうかさ、ほんとーに、なんでもいいからとりあえずかってよ。ぱんつもくつも、うえからしたまで』

藤「了解です…」



そう答えつつ、俺の脳内の8割は「ぱんつねぇ…」というモヤモヤで占められていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る