第2話

それから数日後、オフの日。

チャマが俺の家に来た。



直『ふじくーん、これって飴?』

藤「え?」



適当にギターを弾いたり、ゲームをしたり、メシ作って食べたり、合間にちょっとだけキスなんかしてみたり。

でもそんな平和な日常は、いきなり粉々に砕け散った。



直『こういう棒付きのやつって懐かしいね!』

藤「…棒?」



はっと気づいて振り返った時には、もう遅かった。

チャマが口にくわえていたのは…



直『ねぇ、これって何味なの?初めて食べたけど、けっこう美味しいじゃん』



あの占い師が押しつけてきたロリポップ・キャンディ。

キッチンに置いておいた俺自身、存在すら忘れていたもの。



―――ぼんっ!!



次の瞬間、漫画みたいな白い煙とともに、恋人の姿が消えた。



藤「チャマ!」



な…、何だよこれ。どういうことだ?

こんなヤバイもんだったのか?



藤「チャマ!?どこ行った、おい!」

直『ふ…じく…』



濃霧みたいで、視界が完全に白く潰される。

それでも何とか、声のする方へ手を伸ばした。


数秒後、手に触れたのはチャマの身体だった。

チャマの…え?いや、チャマ…!?



藤「おまっ…」

直『…え?なに、ふじくん…』



ごめんなさい。この子は誰?

さっきまでチャマが着てた服に埋もれるようにして、未就学児とおぼしき1人の子供が座り込んでいる。


きょとんとした大きな目。

全ての元凶であるキャンディをくわえたままの唇。



藤「…チャマか?おまえ、…鏡見てみろ、おまえ!」

直『えっ…えええーーー!?!?』

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