第1話

夜道を歩いていたら、変なおっさんに声をかけられた。


天下の公道に堂々と置かれているくせに、どう見ても無許可としか思えない机。

水晶玉とぼんやり光るシェードランプ、おみくじみたいな棒のささった謎の入れ物。


姿形からして、たぶん占い師だと思う…が。



占「お兄さん、お兄さん」

藤「……」

占「おにーさん、寄ってらっしゃい。悩みとかあるでしょう」

藤「…………」



ちょっとこれ以上ないくらい怪しい。

だいたい、長くて分厚いヴェールをかぶってるせいで目元がよく見えないのが怖い。



占「瞳が見えないのは、あなたも同じでは?」



…視線と顔色を読まれた。

さすがは魔窟・東京において、こんな風体で生き抜いてるだけのことはある。

ほんの少し感心して歩みを止めてしまった瞬間、薄ら笑いとともに、何かを無理やり押しつけられた。



藤「…?」

占「懐かしい気持ちになれますよ」



顔を上げた時には、無許可占い師(推定)は消えていた。

…謎だ。謎すぎる。


そして、俺の手に残されたのは―――








【Lollipop★Panic】

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