第29話

泣くだけ泣いた後、俺は静かに言った。

投降するよ、と。

子供たちが口々に止めてくるけど、覚悟は出来たから。



今まで本当にありがとう。ありがとう。

みんな元気で。

ライト、壊しちゃってごめんな。



あ、念のため言うけど、絶対ついてくんなよ?危ないから。








そうして、少しゆるんだドアノブをつかむ。

窓のない暗い部屋から、外の世界へ。



次の瞬間、胸のあたりに衝撃が走った。

銃のようなもので撃たれたんだとわかった時には、再び子供たちに囲まれていた。



…おいこら、来るなっつったろ。危ないだろ、実際。

大人たちがまだ武器を構えて包囲してる…





地に伏した俺の前に現れたのは、あの年長の子供。

力を振り絞って、口を開いた。



―――ありがと。牢屋の鍵、あけてくれて。



かすんでいく視界を必死で開いて、言葉をつなぐ。



―――本当にありがとう。俺とずっと一緒にいてくれて。

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