第29話
泣くだけ泣いた後、俺は静かに言った。
投降するよ、と。
子供たちが口々に止めてくるけど、覚悟は出来たから。
今まで本当にありがとう。ありがとう。
みんな元気で。
ライト、壊しちゃってごめんな。
あ、念のため言うけど、絶対ついてくんなよ?危ないから。
そうして、少しゆるんだドアノブをつかむ。
窓のない暗い部屋から、外の世界へ。
次の瞬間、胸のあたりに衝撃が走った。
銃のようなもので撃たれたんだとわかった時には、再び子供たちに囲まれていた。
…おいこら、来るなっつったろ。危ないだろ、実際。
大人たちがまだ武器を構えて包囲してる…
地に伏した俺の前に現れたのは、あの年長の子供。
力を振り絞って、口を開いた。
―――ありがと。牢屋の鍵、あけてくれて。
かすんでいく視界を必死で開いて、言葉をつなぐ。
―――本当にありがとう。俺とずっと一緒にいてくれて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます